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Portfolio NOW!

このコラムでは、毎回1人のデザイナーに旬のデザインを見せていただき、その作品作りのきっかけ、コンセプト、世界観、制作テクニックなどを語っていただきます。リレーコラムですので、掲載クリエイターには次の方にバトンを渡していただきます。

 

Designer FILE 42

宮前 陽/KASUGAMARU

和歌山県海南市出身。川崎医療福祉大学卒業。東京造形大学大学院修了。トライアル展示企画であるINK de JET! JET! JET!のアートディレクター/デザイナーとしての参加や、サッカー日本代表ジョホールバルの歓喜記念ギャラリーのデザインを担当。中国国際ポスタービエンナーレ金賞、NY Graphis金賞、NY TDC Typographic Excellence、ラハティ、トヤマ、モスクワ、トルナヴァ、香港などの各種国際コンペ、東京TDC他入選。MADE IN JAPAN(仏)、All Gold of the World(露)、TYPOMANIA(露)など他多数出展。
http://kasugamaru-d.com/


●UVインクジェット印刷を生かしたビジュアル制作

アートディレクター、デザイナーとして企画及び出展者として参加しているUVインクジェット印刷とデザインの可能性を追求する展示「INK de JET! JET! JET!」の第3回目が東京・渋谷のヒカリエ8Fにて2018年8月1日から8月13日まで開催されます。今回はそのメインビジュアルとDM、印刷の関係についてお話できればと思っております。

・UVインクジェット印刷とデザインの可能性

ここ数年デザイナーなどの作り手に積極的に使われるようになってきたUVインクジェット印刷。元々広告代理店を中心に何十連の駅貼りキャンペーンポスターなどにも使用されていたのですが、近年では、個人での依頼、小ロットでの発注も増え、印刷機自体の精度も増したことにより、可能性を秘めた印刷技法として注目を浴びています。

UVインクジェット印刷の特徴として1枚からの小ロット印刷という縛りがあるため、大量にDMとして作る時はUVインクジェット印刷を使用することがコスト面を含め物理的に難しく、オフセットなどの印刷にて対応するしかないということが前提にあります。

UVインクジェット印刷を使わずにUVインクジェット印刷のアピールポイントを上手く引き出すためにはどうすべきかということから考えました。

過去2回は、この企画展の特徴である名前を覚えてもらうために「INK de JET! JET! JET!」というキャッチーな名前を押し出したタイポグラフィを中心としたビジュアルにて展開していきましたが、今回はUVインクジェット印刷にて可能な表現技法を具体的に写真にしてビジュアル化し作成することにしました。

3回目ということもあり、キービジュアルとして使うものは、「3」と早々に決まってはいたのですが、UVインクジェットの特徴をどう写真で撮影するかが課題となりました。

UVインクジェットの主な特徴として、
(1)何層にも積み上げていくインクの積層
(2)オフセットではなかなか難しい薄いものに印刷可
(3)透明インクの使用
(4)金銀パール紙とインクによる紙の隠蔽を活かした擬似箔としての使用
(5)円柱などの曲面への印刷
(6)厚み(50mm)があるものへの印刷
(7)紙だけでないさまざまな素材への印刷

などが挙げられます。


制作のワークフロー

DMでは上記に上げた中から1つに絞り、見た目的にも特徴が分かりやすいインパクトある(1)の「インクの積層」をピックアップして作成していくことにしました。

まずデジタル上にて試作をし、どのようなものを作るのかを検討をつけていくことにしました(図1)。


図1:デジタル上でラフを検討する。(クリックで拡大)

撮影対象となる素材作りについてですが、初期構想段階では、3の数字をインクが出るインクジェットのノズルにぶち当たる寸前までインクを積層させ、高さのあるインクの柱を作りビジュアル作成する予定でした。しかしチャレンジしたものの、とてつもない時間がかかるのとコストの関係上断念し、ある程度積層させた3の数字の盛りをどう表現するか改めて練り直しすることとなりました(図2)。


図2:積層で数字の厚みを出す。(クリックで拡大)


インクの盛りにある程度高さがあると影ができるので、その影を活かしたビジュアルに落とし込んでいくことにしました(図3)。


図3:数字の影を生かしたデザイン案。(クリックで拡大)

ただ撮影するだけでなく、魅せ方として面白さも必要なので、かなり強い光を1方向から当てて影の伸びを作り撮影し、全体の色味もホワイトからブラックのトーンのバリエーションを何パターンか撮影しビジュアルとしてどれが相応しいのか細かく検証していきました。

その結果、ビジュアルとして暗くなりすぎない、ほどよいグレーなトーンを選択して使用することとなりました。DMでの展開としてのビジュアル(図4)。


図4:完成。(クリックで拡大)


ちなみに上で挙げた他のUVインクジェットの特徴を活かした別のビジュアルは、ポスターにて展開していくことになりました。どうなっているかは、実際に展示期間中ヒカリエにお越しいただき、見つけてもらえると嬉しく思います。

また同時の期間中に代官山蔦屋さんにおいても参加者の紹介を中心としたサテライト展示が開催予定となっております。 詳しくはHPまでよろしくお願いいたします。

https://www.shoei-site.com/idjjj3/
twitter: @inkdejetjetjet


次回は尾花大輔さんの予定です。
(2018年7月17日更新)

 

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