●デザイン会社BLUECOLORのCIを一新
・BLUECOLOR15周年に向けたアートディレクション
デザイン会社BLUECOLORが15周年を迎えるにあたり、CIを一新することになりました。当時この会社に勤めていたわたしは、社長に社内ポスターの自主提案をしていたこともあり、CIを含めた15周年に向けたアートディレクションをすべて任せていただけることになりました。
BLUECOLORという名前は、海や水の青色をイメージしてつけられた名前です。15年間愛されてきた社名が表す「海」や「水」を、これを機にきちんとビジュアライズしたいと考えました。
有限会社BLUECOLORの新しいロゴ。(クリックで拡大) |
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オリジナルフォント。(クリックで拡大) |
・菅野桂子さんに水の写真撮影を依頼
そんな折に、カメラマンの菅野桂子さんと出会いました。彼女の作品の中に、レンズの前に洗濯糊を垂らしたガラス板を置いて撮影した、花の写真がありました。不思議な光の屈折が起き、花は見事に歪んでいました。この方法で、複雑に光を反射する水を捉えたらどうなるのだろうかと考えました。
イメージだけ社長に共有し、撮影を試みることになりました。1.5m角くらいの水槽を用意し水を溜め、大小さまざまな波を立てながら撮影をしました。予期しない驚くような表情がPCの画面いっぱいに次々と現れました。
洗濯糊を用いた下2つの写真は、一見すると海や滝、氷河のようでもあり、広大な未知の景色のようでもありました。水の動きを追うように伸びる白い光の線は、この洗濯糊が起こした光の屈折により現れています。
菅野桂子さん撮影による写真を用いたポスター。(クリックで拡大) |
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・名刺、紙袋、封筒のデザイン
生命力のある写真に対して、社内ツール類のデザインは、完結にドライに仕上げました。かっちりとした白の余白から感じる静寂が、より写真の躍動感を引き立てるように。紙袋、封筒それぞれ、サイズごとにロゴの大きさを変えずに統一し、シンプルな表現の中で緻密にデザインしていきました。名刺は、1枚のグラフィックから切り出し、全45種類作りました。
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封筒は、折り目ぴったりにロゴを配置できる版下を自ら考えました。紙袋は、組み立てを手作業で行っていただくことで、ズレを最小限に抑えています。
封筒。(クリックで拡大) |
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紙袋。(クリックで拡大) |
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紙袋の内側にも水の写真を。(クリックで拡大)
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CIの一新と同時に、15周年の感謝を伝えるパーティを行うことになりました。会場には、上記のB0サイズのポスターを壁いっぱいに展示しました。いくつかの写真は、両サイドから起こした波を縦位置で撮影したものでしたが、ポスターではあえて横位置に使用し、写真の中での距離感や空間感を曖昧にすることで、水が生み出した見たことのない表情を強調しました。
わたしはすでに退社しておりますが、関わっていただいたすべての皆様に感謝しております。
次回は金 泰浩さんの予定です。
(2018年5月15日更新)
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