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・国産で2kg以下のモノブロックストロボを選ぶ

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ストロボといえば、電源部と発光部を組み合わせたものが一般的だった。しかし機動性を重視し、電源部と発光部を一体化してACコードをコンセントに差し込むだけで使える「モノブロックタイプ」と呼ばれるストロボを使うカメラマンが増えてきている。以前のモノブロックストロボは、デジタル一眼レフカメラと組み合わせると光量を絞っても強すぎて使いづらいという面があったが、最近のストロボはFULL~1/32やFULL~1/64の調光に対応するモデルの登場で改善されてきている。また、メーカーによっては冷却ファンの有無が選べるラインナップもあり、撮影の目的や好みに合わせて選べるのも理由だろう。

そこで本特集では、2kg以下で国産製という条件の中から取材やロケの撮影に最適なモノブロックストロボを選んで紹介する。選択に当たって考慮したのは、毎日使っていても安定性や信頼性などに不安を感じないことだ。最近はインターネットの通販を中心に海外製のコストパフォーマンスの高いモノブロックストロボも増えているが、消耗品や点検、持ち込み修理、古いモデルでも部品がある限り修理に対応してくれるといったサポートのことを考慮して、国産のみを選んでいる。対象となるメーカーはプロメット、コメット、ワイドトレード、サンスターストロボなど。プロメット、コメット、ワイドトレードには話を聞くことができたので参考にしてほしい。

■プロペット
■コメット
■ワイドトレード
■サンスターストロボ


 プロペット Nシリーズ/fシリーズ/Eシリーズ/EQシリーズ/SQシリーズ

http://www.propet.co.jp/

プロペットは、国産を代表するストロボメーカーの1つだ。プロペットと聞くと、特にモノブロックストロボを連想する人が多いのではないか。1991年に発売した小型軽量の「モノブロック220」は、小型軽量で大ヒットした機種で、モノブロックストロボというジャンルを切り開いたマイルストーン的なモデルだ。また、発光部と電源部が一緒になったストロボを「モノブロック」と呼ぶようになったのもプロペットが初めてだ。要望があれば可能な範囲でカスタマイズに対応してくれるのも国産メーカーならではの対応であろう。同社はさまざまなカメラマンのニーズに合うようなモノブロックのラインナップを発売している。そのほとんどは2kg以下だ。その中から人気のMONO NシリーズやMONO Fシリーズを紹介していこう。

●小さくて、軽いMONO150N 300N
Nシリーズの特徴はリーズナブルとコンパクト性にある。MONO 150Nは市場実勢価格が4万円台前半で1.3kg、MONO 300Nは5万円台半ばで1.5kg。2灯購入して持ち歩くのもの可能な重量と価格が最大の魅力だろう。

冷却方式は自然放熱を採用しており、同社のラインナップでファンを内蔵していないのはNシリーズだけだ。ファンレスというとオーバーヒートが気になるところだが、ファンを内蔵している300Fや150Fよりもオーバーヒートしにくい場合もあるという。それほど放熱に優れているとのことだ。ちなみに、300Nと150Nでは300Nのほうが売れているとのこと。

▲重量は1.5kgで300Ws、調光は1/8まで対応しているMONO300N

●冷却ファンを搭載の小型軽量モデルのMONO300fと150 f
冷却ファンを搭載した小型のモノブロックストロボを選びたいならば、fシリーズとなる。ファンを内蔵していないNシリーズよりも軽くて小さい。MONO150fで1.25kg、MONO300fで1.3kgしかない。また、冷却ファンを搭載しているのでシャッターの多い撮影にも安心して使える。こちらも300fと150 fの2種類あるが300 fのほうが売れているとのこと。

▲冷却ファンを搭載したMONO150f(左下)とMONO300f(右上)

●標準モデルMONO Eシリーズと高級モデルMONO EQシリーズ
Eシリーズは価格を抑えたハイスペック機で、EQシリーズはハイスペックなのが特徴。EシリーズはFULL~1/16まで、EQシリーズはFULL~1/32まで調光できる。硬質ガラス放電管を採用した200Wの「MONO200E」、300Wの「MONO300E」、400Wの「MONO400E」の3機種と、コンデンサ調光と電圧調光と併用してより熱に強いコルツ放電管を採用する200Wの「MONO200EQ」、300Wの「MONO300EQ」、400Wの「MONO400EQ」がラインナップされている。


▲ハイスペック&リーズナブルなMONO400E


▲高性能コルツ放電管採用と調光範囲1/32まで対応するMONO300EQ


●調光範囲1/64に対応した最上位機種のSQシリーズ
SQシリーズはすべてファン付きで、調光範囲はFULL~1/64、調光方式にシリーズカット調光方式という方式を採用している。通常のモノブロックストロボはコンデンサの電圧で調節する電圧調光方式が使われているが、シリーズカット調光は閃光時間を調節することで調光を行う技術で、チャージが早く、閃光時間が短いので、よりシャープな写真が撮れるなどの特徴がある。

1/16ならば6~10コマ、1/64ならば15〜20コマ発光の高速連続撮影が可能だ。ここまで連続撮影に対応した国産のモノブロックストロボはSQシリーズだけである。

▲高速連写対応ストロボのSQシリーズ

最後に、プロペットのモノブロックの保障期間は3年というのも他社にはない特徴だ。放電管などの消耗品は対象外だが、自然故障に関しては無償で対応してくれる。

価格
・Nシリーズ 68,250円(MONO300N)
52,290円(MONO150N)
・fシリーズ 71,400円(MONO300f)
55,440円(MONO150f)
・Eシリーズ 105,000円(MONO400E)
94,500円(MONO300E)
84,000円(MONO200E)
・SQシリーズ 152,250円(SQ400)
141,750円(SQ300)
131,250円(SQ200)


 コメット TWINKLE FIII/FIII-Wh/TWINKLE IIIシリーズ

http://www.comet-net.co.jp/

コメットと言えば営業写真館でシェアが高いとよくいわれているメーカーで、安定した光量やサポートなどで信頼性が高いことも有名だ。出張修理も可能だったりその場で修理できない場合は同等の製品を一時貸出したり、繁忙期には土日、祝祭日もスタッフが待機しているなど撮影の中断が許されないプロの現場に対応してくれる。

コメットのモノブロックストロボのブランド名は「TWINKLE」。最新モデルのFIII/IIIシリーズは2010年5月に発売されたばかりで、特徴は各モデルで1.2kg~1.5kg台と軽量で小型であること。200Ws、300Ws、400Wsの3モデルに、各モデル「冷却ファンあり」と「冷却ファンなし」の合計6機種がラインナップされている。


▲TWINKLE FIIIシリーズにボディがホワイトの「TWINKLE 03FIII-Wh」が登場。違いは色だけだ。

FIII/IIIシリーズの特徴は、調光候範囲の広さだ。ユーザーからは、とにかく「光量を落としたい」という要望が多く、その要望に応えたという。調光範囲がII型に比べて一絞り増えて、冷却ファン付きの場合はFULL~1/64、冷却ファンなしモデルの場合はFULL~1/32まで絞ることができるようになった。調光範囲を増やしたことによって、ぼかしたような撮影が可能になったわけだ。また、冷却ファンありのモデルは、200Wのハロゲンランプを採用しており、ライティングが確認しやすくなっている。

また、FIII/IIIシリーズでは警報音を止めて撮影できる「FREE」を搭載した。今までのタイプは「Ready」にしてチャージ前にシャッターを切ろうとするとアラームが鳴ってしまったが、それを「FREE」にするとアラームは一切ならないで、光でチャージが分かるようになる。報音を気にせずに撮影ができるようになったわけだ。

そのほかの特徴は、コメットCXタイプのアクセサリーが全部使えることだ。例えば、ライトバンクからハニースポット、グリッドスポットなどの豊富なアクセサリーが使用できる。

購入前に特に気になるのは冷却ファン付きモデルのファンの音だろう。静かなところならば聞こえる程度だ。連発で発光させて本体が過熱した場合は、加熱警報が鳴る入る仕組みになっているが、もちろん冷却ファンありのほうがよりシャッターを切っても加熱警報が鳴りにくいようになっている。例えば、コマーシャルや取材でどんどんと撮ったりするならば、冷却ファンありがいいだろう。逆に証明写真といった最初から枚数の少ない場合ならば、冷却ファンなしモデルが最適だろう。ただし、デジタルカメラになってから、どんどんとシャッターを切る傾向にあるので、できれば、「ファンあり」のほうがお勧めとのことだ。

価格
・FIIIシリーズ 94,185円(TWINKLE 02 FIII)
106,050円(TWINKLE 03 FIII)
116,865円(TWINKLE 04 FIII)
・FIII-Whシリーズ 99,435円(TWINKLE 02 FIII-Wh)
111,300円(TWINKLE 03 FIII-Wh)
122,115円(TWINKLE 04 FIII-Wh)
・IIIシリーズ 73,500円(TWINKLE 02 III)
85,470円(TWINKLE 03 III)
96,285円(TWINKLE 04 III)




▲上がファン内蔵のTWINKLE 04FIIIで下がファンを内蔵しないTWINKLE 04III。ファンを内蔵するモデルのほうがわずかにボディが大きくなる


▲TWINKLE 04FIIIの背面。ファン付きならば調光は1/64まで対応する

 ワイドトレード TOKISTAR e-light m200 II

http://www.widetrade.jp/

ワイドトレードは照明機材を多く取り扱っているメーカーだ。その中で「TOKISTAR」(トキスター)というブランド名でモノブロックストロボの製造と販売をしている。その名の由来は、同社の地元新潟県にいる鳥の「トキ」をもじって命名したものだという。同社は2005年に設立とストロボメーカーとしては後発だが、価格や品質、アイデアで老舗のメーカーに対抗しているところだ。そのTOKISTARの中でe-light m200 IIが自社製造で国産製だ。最大出力は200Wsで調光はFULL~1/32までに対応している。

特徴は価格が62,790円と安いことだ。ヨドバシカメラやビックカメラといった大手量販店でも取り扱われているので、そこで実機を確認したり購入することも可能だ。

ボディのサイズも特徴で、小型のボディを実現できたのは冷却ファンを搭載していないからだ。アルミダイキャストを採用してボディ自体がヒートシンクの役目を果たすことで小型化に成功している。重量も1.36kgと非常に軽い。

そして最大の特徴は、調光方式にコンデンサ調光と電圧調光の併用型を採用していること。従来のストロボは、撮影時に絞ったりすると若干温度が変わってくるという問題があったが、調光方式を併用型にすることによって色温度が変化しにくいようになっている。1/32に絞ったときで5600K、フル発光で5850K。その差は約200Kだけしかない。ほぼ一定の色で撮影が可能なのが最大の強みだ。色温度の変化を抑えられれば、それだけ後処理が楽になるというところも含めて考えると魅力的だ。

価格
・TOKISTAR e-light m200 II 62,790円


▲調光出力にコンデンサ調光と電圧調光の併用方式を採用するe-light m200 II


▲e-light m200 IIの背面。調光は1/32まで対応する


▲ボディに高効率冷却が可能なアルミダイキャストを採用



 サンスターストロボ MONOSTAR X4/MONOSTAR X3

http://sunstarstrobo.jp/

サンスターストロボは、本社や工場が愛知県名古屋にあるストロボメーカーだ。モノブロックストロボは400Wsの「MONOSTAR X4」と300Wsの「MONOSTAR X3」の2モデル発売されている。

●MONOSTAR X4
MONOSTAR X4は、セパレートタイプの電源部と同等の機能を満載した高性能モノブロックストロボだ。調光方式は電圧調光で出力が400Ws、調光範囲はFULL~1/64と幅がとても広い。背面のデジタル表示のディスプレイがついており、ストロボから離れた場所からでも何に設定しているのかがわかるようになっている。また、モデリングも単独で調光できるほか、フラッシュチューブに長寿命のクォーツを使用、色かぶりを防ぐデイライトハロゲンランプを搭載している。

ユニークなのが、通常のポリカーボネイト樹脂のモデルとカーボン調にデザインされたモデルの2種類のボディがリリースされている。違いはデザインだけで性能は同じだ。


▲出力400Wsと1/64の調光に対応するMONOSTAR X4


▲カーボン調にデザインされたボディ。ストロボでは面白い試みだ


●MONOSTAR X3
「MONOSTAR X3」は、2010年12月に発表されたばかりの新型モノブロックストロボだ。出力が300Wsで調光範囲はFULL~1/32まで対応する。背面のデジタル表示のディスプレイは省略されている以外はMONOSTAR X4と同等のクオリティを実現している。

▲出力300Wsと1/32の調光に対応するMONOSTAR X3

価格
・MONOSTAR X4 145,950円
・MONOSTAR X4 carbon 151,200円
・MONOSTAR X3 109,200円


 各社の代表的なストロボのサイズ比較

モノブロックストロボの購入を検討している人は、ボディのサイズを気にしている人も多いと思う。ここで紹介した4社の代表的なストロボの大きさを比較してみたので携帯時などの参考にしてほしい。ただし、コメットのTWINKLEは初代のTWINKLE 02(ファンなしモデル)であることをご了承いただきたい。

◀左からトキスターe-light m200 II、プロペットmono150N、コメットTWINKLE 02、サンスターストロボMONOSTAR X4


◀左からプロペットmono150N、コメットTWINKLE 02、トキスターe-light m200 II、サンスターストロボMONOSTAR X4




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