・PhaseOne シュナイダー全レンズレビュー

・第5回 PhotoShop CS6 Extendedの新機能
・第4回 SONY NEX-7をテストする

・第3回 フィルムをシミュレーションする「DxO FilmPack3」
・第2回 富士フイルム「X10」
・第1回 ミラーレス一眼「ニコン1 V1」

・PHASE ONEを次のステージに牽引する
シュナイダーの交換レンズ


・写真表現を極めた高精度ビューカメラ
「COLAVOLEX V2」の開発コンセプトに迫る


・第1回:ミニノートPCで最小構成の連結撮影

・ストロボコントロールプラグイン「Profoto Air」

・自動画質向上RAW現像ソフトウェア「DxO Optics Pro 6」

・デジタルカメラバック
Aptus II 10R


・直観的に使える現像ソフト
「Capture One 5 Pro」




新製品インタビュー



PHASE ONEを次のステージに牽引する
シュナイダーの交換レンズ


DNPフォトルシオ プロフォトソリューショングループ
川口和之氏
http://www.fotolusio.jp/



DNPフォトルシオは2010年5月に「645DF」に対応したシュナイダーの交換レンズ3本をリリースした。このレンズは群を抜いた解像力が魅力といわれ、645DF、P65+などと組み合わせることで、現時点では、最高峰の写真を得ることができる。ここではシュナイダーのレンズに関し、販売側のDNPフォトルシオ、川口和之氏にその魅力を聞いた。





←PHASE ONE645DF用交換レンズ

シュナイダークロイツナッハ
「AF55mm F2.8LS」
シュナイダークロイツナッハ
「AF80mm F2.8LS」
シュナイダークロイツナッハ
「AF110mm F2.8LS」
(クリックで拡大)







■PHASE ONE「645DF」の交換レンズ

--まずPHASE ONEシステム全体の現状をお話ください。

川口:PHASE ONEは、2009年12月に「645DF」を発売し、従来からの「645AF」とともにカメラ本体2機種のラインナップとなりました。645DFの最大の特徴は、フィルムバックとデジタルバックの互換性を捨て、デジタルバックに特化したことによって、シャッター間隔やフォーカスの速さが30%以上向上し、速写性をアップさせた点にあります。

そして、2010年の春に、従来のデジタルレンズ6機種に加え、シュナイダーLSレンズが3本出揃ったことで、益々充実したシステムカメラになりました。 645DFは、レンズシャッターを搭載したシュナイダー「AF80mm F2.8LS」とセットで発売していますが、ストロボ同調速度が1/800秒と高速で、さらにリーフやP65+、P40+といったデジタルバックを用いることで、同調速度が1/1600秒まで広がります。これは新たな次元の撮影領域に到達したと言えると思います。

--シュナイダーLSレンズのメリットはどんな点でしょうか。

川口:新しく加わった3本のシュナイダーレンズ、「AF55mm F2.8LS」「AF80mm F2.8LS」「AF110mm F2.8LS」は、F値がすべてF2.8と大口径で明るく、フィルター径も72mmで共通規格となっています。

これらのシュナイダーレンズを使用した場合、シャッタースピードは1秒から1/800秒の間はレンズシャッターが作動し、1/1000秒から1/4000秒まで、また1秒以上60分まではカメラに搭載されたフォーカルプレーンシャッターに自動的に切り替わります。1/4000秒から60分まで、カメラマンは意識することなくシームレスに使うことが可能です。

--シュナイダーの魅力は、その解像力と言われていますが。

川口:はい。シュナイダーのデジタルレンズは「Digitar」の名称で、ビューカメラ用に24mmから210mmまでデジタルバックに対応させる目的で16機種発売されていますが、フィルム時代のレンズとの違いはやはり解像力だと思います。

フィルムの銀粒子は10ミクロン以上ですが、デジタルバックのセンサーピッチは現在6ミクロンから9ミクロンとなっていますので、レンズにはフィルム時代よりもさらに高い解像力が求められています。

--6ミクロンを描写できるレンズということですか。

川口:シュナイダーのレンズで撮った写真を400%に拡大して、CCDセンサーの1ピクセルが形成する様子を見たのですが、他社のレンズとの比較において、解像力の違いは一目瞭然でした。特にセンサーピッチが6ミクロンのCCDでは残酷なまでにその差が明確です。

シュナイダーはP65+やP40+の性能を100%引きだすことができるレンズラインナップですので、645DFシステムは、プロの厳しい要求に十分応えるものと言えると思います。


■3本のレンズ、それぞれの特徴

---3本のレンズをもう少し具体的に説明願います。

川口:まず「AF110mm F2.8LS」ですが、これは35mm換算で焦点距離68mm相当、29度の画角となりますので、人物から風景まで使いやすい画角をカバーしています。44mmx33mmのサイズのCCDでは88mm相当の画角となり、中望遠レンズとなります。

特に分解能力ですが、絞り開放から非常にシャープでコントラストが高く、抜けの良い画像を得ることができます。半絞り絞っただけで周辺から中央まで均一で繊細な描写を見せてくれます。



▲AF110mm F2.8LSとP65+による撮影例(クリックで拡大。約11MB)



▲AF110mm F2.8LSとP65+による撮影例(クリックで拡大。約17MB)



▲AF110mm F2.8LSとP65+による撮影例(クリックで拡大。約20MB)

--ボケの感じはいかがでしょうか。

川口:ボケは非常に柔らかく、ボケの中に潜む微妙な階調まで見事に表現しますね。F5.6以上に絞った場合の解像力は素晴らしいもので、肉眼で見えない微細なところまで再現します。これなら、一般的な撮影に加え高精細デジタルアーカイブの分野でも最強のレンズと言えると思います。

ただ、絞りをF16以上に絞ると、解析現象を起こして画像は崩れてきますので、注意する必要があります。デジタルバックを使う場合に共通することですが、被写界深度をかせぐための絞り過ぎには注意していただきたいですね。

1/1600秒で日中シンクロを使用できることで、これまで不可能だった美しいボケ味を使った表現も可能になりました。さまざまな意味で新次元のレンズが登場したと言っていいと思います。

--なるほど、広角レンズはいかがですか。

川口:「AF55mm F2.8LS」の方ですが、こちらは35mm換算で焦点距離34mm相当、64度の画角となり、標準的な広角レンズということができます。44mmx33mmのCCDでは44mm相当の画角になりますので、この場合は準標準レンズとしての使用も可能です。

広角レンズにつきものの周辺解像力の低下や画像の流れ、直線の歪みなどさまざまなレンズ収差が極限まで抑えられていて、これは昔から広角レンズを得意とするシュナイダーの特徴が良く出ていのではないでしょうか。

--歪みがほとんどないということですか。

川口:CaptureOneの機能の中にレンズ収差補正機能がありますが、このレンズを使用する限りは、この機能はほとんど必要ないと思います。

画質は110mm同様クリアで抜けが良く、極めて高い解像力を持っているうえに、パープルフリンジも目立ちません。




▲AF55mm F2.8LSとP65+による撮影例(クリックで拡大。約10MB)



▲AF55mm F2.8LSとP65+による撮影例(クリックで拡大。約46MB)


--標準レンズの80mmはいかがでしょう。

川口:標準レンズの「AF80mm F2.8LS」ですが、これは従来の「AF80mm F2.8D」とカタログで見る限りレンズ構成は変わらないのですが、フィルター径が67ミリから72ミリへ変わり、また重さも330gから450gへとなり、大きく重くなっています。

--大きく重くなった理由はなんでしょうか。

川口:レンズシャッターを内蔵したこともありますが、基本設計や材質を変えることで、より高性能なレンズに進化させたということです。

従来のレンズと80mm同士で撮り比べてみますと、絞った状態では解像力に大きな差は出ませんが、絞り開放で比べると違いが分かります。

それに、全体的な空気感と言いますか、透明感に差があるので、従来より、確かにワンランク上のレンズになっています。おそらく6ミクロン以下のセンサーピッチに対応させるために、かなりチューンナップした結果ではないでしょうか。




▲AF80mm F2.8LSとP45+による撮影例(クリックで拡大。約30MB)



▲AF80mm F2.8LSとP45+による撮影例(クリックで拡大。約24MB)


--3本とも解像力がさらに上がり、より空気感がリアルになったということでしょうか。

川口:そうですね、3本のレンズに共通することは、シュナイダーの名に恥じない圧倒的な解像力と極限まで抑えられた収差と言っていいと思います。

それと、パープルフリンジの少なさは他社のシステムと比べると一目瞭然です。これは非常に優れたデジタル特性を持っているからだと思います。

いずれのレンズも絞り開放から優れた描写をしますが、F16以上に絞り過ぎた場合の解像力の低下は否めません。F5.6からF11の間において最高の解像力を発揮します。

--他に利用上のポイントはありますか。

川口:あえて言えば大きさと重さかもしれません。645DF/80mm LSにP45+を付けた場合、全体の重量は2.kg以上になりますので、ニコンやキヤノンのフラッグシップ機に標準ズームを付けた時より一段重くなりますし、縦位置撮影のホールディングにも不満が残ります。

--先日縦位置用のグリップを発表されましたね。

川口:はい、縦位置グリップを645DFに付けてホールディングを試してみましたが、110mmを付けてもバランス良くガッチリと構えることが確認できました。シュナイダーのレンズだけではなく、PHASE ONEは、システム全体でまた一歩と進化したと思っています。

また、2010年秋のフォトキナでこれから発売する予定のレンズが発表されたので、少しこの件にふれておきます。今回発表されたのはシュナイダーレンズとフェーズワン・デジタルレンズがそれぞれ2機種で、フェーズワンブランドは「AF35mm F3.5」と「AF120mmF4 Macro」で、待望の35mm広角レンズとオートフォーカス・マクロレンズが登場します。

2011年早々には、シュナイダー「AF150mm F3.5 LS」とシュナイダー「MF120mm F5.6 TS」の2機種が加わります。皆様が待ち望んでおられるチルト・シフトレンズがシュナイダーからいよいよ発売です。発売されましたらまたアナウンスさせていただきたいと思います。

フェーズワン645システムはこれからも益々進化していきます。

--ありがとうございました。



▲フェーズワンのレンズ群(クリックで拡大)




▲フェーズワンの縦位置ホールディング用のグリップ「Vertical Grip for 645DF」(クリックで拡大)


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