・PhaseOne シュナイダー全レンズレビュー
●今気になる最新ツール
・第11回 Fuji Film X-Pro1
・第10回 Schneider PC-TS Macro-SYMMAR 90mm f4.5 HM For Canon
・第9回 SIGMA SD1 Merrillの実力
・第8回 Phese One Media Proでセレクト作業を高速化する。
・第7回 Canon Digital Photo Professionalのデジタルレンズオプティマイザ機能を試す。
・第6回 Adobe Photoshop Lightroom 4を試用する
・第5回 PhotoShop CS6 Extendedの新機能
・第4回 SONY NEX-7をテストする
・第3回 フィルムをシミュレーションする「DxO FilmPack3」
・第2回 富士フイルム「X10」

・第1回 ミラーレス一眼「ニコン1 V1」
●新製品インタビュー
・PHASE ONEを次のステージに牽引する
シュナイダーの交換レンズ

・写真表現を極めた高精度ビューカメラ
「COLAVOLEX V2」の開発コンセプトに迫る

●プロカメラマンのためのこだわりグッズ
・第1回:ミニノートPCで最小構成の連結撮影
●PCJ Review
・ストロボコントロールプラグイン「Profoto Air」
・自動画質向上RAW現像ソフトウェア「DxO Optics Pro 6」
・デジタルカメラバック
Aptus II 10R

・直観的に使える現像ソフト
「Capture One 5 Pro」





第11回 FUJI FILM X-Pro1

このコーナーでは、コンパクトデジタルカメラからハイエンドカメラ、撮影用品、各種ソフトウェアまで、仕事や作品制作、趣味を問わず、プロカメラマンが使ってみたくなる話題のツールを毎回取り上げていく。

文:津島隆雄
1971年青森県生まれ。学校写真カメラマン、コマーシャルスタジオのアシスタントを経て1999年よりフリー。 物撮りから人物などさまざまな写真業務全般、画像処理全般を手がける。
http://www.gungho.or.tv/
◯基本スペック
●Fuji Film X-Pro1
・有効画素数   1,630万画素
・撮像素子    23.6mm×15.6mm(APS-Cサイズ)X-Trans CMOSセンサー、原色フィルター採用
・撮影感度    ISO200〜ISO6400(1/3段ステップ)
・液晶モニター  3.0型RGBW(ホワイト)カラー液晶モニター 約123万ドット(視野率約100%)
・ファインダー  ハイブリッドマルチビューファインダー
         光学ファインダー
         0.47型 カラー液晶ファインダー 約144万ドット 視野率約100%
・サイズ      139.5(幅)×81.8(高さ)×42.5mm (奥行き。最薄部34.1mm)
・重さ      約400g(バッテリー、メモリーカード含まず)

●XF18mmF2.0 R
・レンズ構成   7群8枚(非球面レンズ2枚)
・焦点距離    18mm(35mmフィルム換算:27mm相当)
・絞り      F2.0〜F16(1/3ステップ)
・撮影距離    約18cm〜
・寸法・質量   64.5mm×40.6mm 約116g(レンズキャップ・フード含まず)
●XF35mmF1.4 R
・レンズ構成   6群8枚(非球面レンズ1枚)
・焦点距離    35mm(35mmフィルム換算:53mm相当)
・絞り      F1.4〜F16 (1/3ステップ)
・撮影距離    約28cm〜
・寸法・質量   65.0mm×54.9mm 約187g(レンズキャップ・フード含まず)
●XF60mmF2.4 R Macro
・レンズ構成   8群10枚(非球面レンズ1枚、異常分散レンズ1枚)
・焦点距離    60mm(35mmフィルム換算:91mm相当)
・絞り      F2.4〜F22 (1/3ステップ)
・撮影距離    約26.7cm〜
・寸法・質量   64.1mm×70.9mm 約215g(レンズキャップ・フード含まず)

FUJI FILM X-Pro1のサイトへ



●X-Pro1の概要

富士フイルムのデジタルカメラ、Xシリーズのフラッグシップ機にあたるのが今回試用した「X-Pro1」。本機はクラシカルなデザインとAPS-Cの大型の独自撮像素子を特徴とし、光学ファインダーと電子ビューファインダーのハイブリットマルチビューファインダーを持つ。

独自配列の撮像素子はモアレや偽色の発生を抑え、ローパスフィルターが不要となるため、クリアで高画質な描写をする。また、現在3本用意されている専用のフジノン単焦点レンズはその撮像素子の魅力を十分に発揮する。また、ダイナミックレンジ拡張や、フィルムシミュレーションなど、従来のXシリーズと同じように使用できる機能も内蔵している。

ダイヤル式のシャッタースピードや、露出補正、レンズの手動式絞りなど、最近のオール電子式とは異なる、カメラとしての伝統を受け継ぎながら、最新のデジタル技術と上手く融合された上品な仕上がりとなっている。


●解像度チェック

◀・XF35mmF1.4 R
 1/125
 F2.8
 ISO200
 (クリックで拡大)

開放がF1.4なので、筆者のストロボでは出力が落ちきれずF2.8からのデータになった。中心部はさすがの描写を見せている。小さい文字もにじむことなく描写され、モアレも出ていない。周辺部はF5.6辺りから描写も良くなる。通常絞りすぎると画質は悪くなっていくのだが、このレンズは絞っても十分な画質を維持している。

F2.8〜F16までのデータ
F2.8F4.0F5.6 F8.0 F11F16


◀・XF60mmF2.4 R Macro
 ・1/125
 ・F16
 ・ISO200
 (クリックで拡大)

解像度、質感ともに素晴らしい描写を見せる。AWBもバランスが良い。

◀・XF60mmF2.4 R Macro
 ・1/125
 ・F22
 ・ISO200
 (クリックで拡大)


従来のレンジファインダー(光学ファインダー)では、パララックスのズレがあったり、ピントの正確さなどに不安があったが、本機は電子ファインダーも持つので、正確なフレーミング、ピント合わせが可能。ホットシュー、シンクロ接点を備えているのでスタジオ撮影に用いることもできる。

◀・XF60mmF2.4 R Macro
 ・1/125
 ・F22
 ・ISO200
 (クリックで拡大)


作例のように、高画質な画像をスタジオでも得ることができる。


●高感度性能

◀・XF18mmF2.0 R
 ・1.7s
 ・F5.6
 ・ISO200

 (クリックで拡大)



◀(クリックで拡大)


現在のカメラの高感度はほぼISO3200までなら問題なく、X-Pro1も十分である。また、等倍鑑賞をせずに、使用サイズが大きくなければさらにISO6400以上も十分使用できる。

感度ごとのオリジナル
ISO200ISO400ISO800ISO1600ISO3200ISO6400
ISO12800 (JPEGのみ) ISO25600 (JPEGのみ)ISO100 (JPEGのみ)


●その他の作例

◀・XF35mmF1.4 R
 ・1/1900
 ・F2.5
 ・ISO400

 (クリックで拡大)


クリアでヌケの良い高画質を得ることができる。

◀・XF60mmF2.4 R Macro
 ・1/125
 ・F7.1
 ・ISO800

 (クリックで拡大)

その場の雰囲気をしっかりと描写する。

◀XF18mmF2.0 R
 ・1/70
 ・F5.6
  ・ISO800

 (クリックで拡大)



◀XF35mmF1.4 R
 ・1/950
 ・F2.0
 ・ ISO200

 (クリックで拡大)


Fujiらしいすっきりとした色と画像。

◀・XF60mmF2.4 R Macro
 ・1/210
 ・F2.4
 ・ISO400

 (クリックで拡大)

ボケは非常に滑らかで美しい

◀・XF18mmF2.0 R
 ・1/400
 ・F2.2
 ・ ISO200

 (クリックで拡大)

このカメラはモノクロでの街撮りスナップもよく似合う。光学ファインダーで軽快に撮影したい。

◀・XF60mmF2.4 R Macro
 ・1/500
 ・F4.0
 ・ISO400

 (クリックで拡大)

撮影できるフォーマットは2:3、16:9、1:1。正方形フォーマットで撮れるのは嬉しい。

◀・Leica SUMMICRON-M F2.0
 ・ISO200

 純正Mマウントアダプター使用

 (クリックで拡大)

純正品でMマウントのアダプターが用意されている。電子接点が組み込まれているため絞り情報は無理だが、焦点距離情報などを設定できるので、光学ファインダー時にレンズに合わせたフレーム枠の表示(一部制限あり)、画像補正などを利用可能。

◀・Leica SUMMICRON-M F2.0
 ・ISO1600

 純正Mマウントアダプター使用

 (クリックで拡大)


Leicaだけでなく、さまざまなMマウントレンズを楽しめるのもこのカメラの魅力の1つ。装着できるレンズかどうかのチャックゲージも同封されているので安心して使える。
FUJI FILMの対応表はこちら

◀・XF18mmF2.0 R
 ・1/240
 ・F8.0
 ・ISO200

 Adobe Camera Rawにて現像

 (クリックで拡大)

アドビ系のアプリケーションはRAW現像に対応している。同封のSILKY PIXは使い慣れていないため、使い慣れたアプリでRAW現像できるのはありがたい。 Capture One、 Aperture、DxOはRAWには未対応。

◀・XF18mmF2.0 R
 ・1/240
 ・F8.0
 ・ISO200

 DxO OpticsPro7にてJpegをFilmPackを使用して処理。
 FUJI FILM Neopan Acros100をシミュレート。

 (クリックで拡大)


DxO FilmPackでJPEGをさらに処理をすることでよりアナログ感を出す。このカメラはモノクロをきっちりと表現したいと思わせるカメラである。



以上のように、X-Pro1はかなり完成度の高いカメラに仕上がっている。マニュアルで設定できる感度やWB、RAW+JPEG記録など、基本性能も装備している。AFにややもたつきを感じる場合もあるが精度は高い。

ハイブリットマルチビューファインダーは
素晴らしい技術なのだが、応答速度や解像度によるものなのか、マニュアルでのピント合わせ時に少々見づらく感じた。また、背面の液晶も晴天下の屋外では若干見づらい。せっかくの高画質カメラなので、ここはさらなる進歩を期待したい。

また、ダイナミックレンジ拡張を400%に設定するとISO感度が800以上になってしまうため、F1.4などの開放で撮影したい時、シャッター速度が1/4000ではオーバーになってしまう。せっかくの明るい開放レンズ、浅いピントで撮りたい時もあるので今後の対応を期待したい。


X-Pro1は、今後のノンレフレックス1眼カメラの1つのスタイルを確立したカメラである。今後、レンズラインナップは拡張され、さらに利用領域は広がるだろう。デジタルながら、アナログの心地よさと操作感を持つ本機は、今後もプロにとっての魅力的な選択肢になっていくと思われる。


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