今回、使用したカメラはハッセルブラッド500CWです。デジタルバックは以下の2機種を使いました。
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Phase One IQ140 |
Phase One P45+ |
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CCDセンサー |
43.9×32.9mm
7320×5484(4000万画素) |
49.1×36.8mm
7216×5412(3900万画素) |
ISO感度 |
50〜800 |
50〜800 |
撮影間隔 |
約1.2コマ/毎秒 |
約0.7コマ/毎秒 |
シャッター速度 |
最長60秒 |
最長1時間 |
焦点距離換算 |
約1.3× |
約1.1× |
ピクセルサイズ |
6×6μ |
6.8×6.8μ |
画像ファイルサイズ(IIQ-L 1枚) |
約48MB |
約46MB |
IQ140はPhase Oneの新しいラインナップであるIQシリーズの中で、唯一の4433と呼ばれるサイズのセンサーを使ったデジタルバックです。
IQ140は3648と呼ばれるセンサーよりは一回り小さいサイズであると言うことが最大の特徴でしょう。それに伴いレンズの画角も若干小さめになりますが、モデル撮影などにはかえってちょうどよいくらいの画角になります。センサーサイズが小さいため、画素数も4,000万画素とバックタイプの中では扱いやすいサイズになり、シャッター間隔も毎秒1.2コマと、モデル撮影でもストレスなく使うことができます。
IQシリーズ全般の特徴ですが、大型背面液晶がタッチパネルになっていて、各種セッティング、撮影後の確認など、非常に直感的で、しかもやりやすくなっています。
もう1つのP45+は、旧型となったPシリーズの中核のデジタルバックです。センサーサイズは3648と呼ばれる大型のサイズになります。645のカメラ、レンズとほぼ同じ画角で撮影できるのが、なんと言っても気持ちいいモデルです。
上位機種のP65+が発売されるまではこのP45+が中判デジタルの最上位機種でした。多くの広告写真家が今も現役で使っているモデルです。発売後、時間も経っていますが、扱いやすい画素数と相まって、その抜群の安定感でまだまだこの先何年も現役で使えるでしょう。
各種セッティング、画像の確認は、液晶の周りに配置された4個のボタンで行う、伝統的なPhase Oneの操作系です。慣れが必要ですが、Pシリーズだけを使う分にはすぐに慣れてしまうでしょう。
この2機種は、現在、中判デジタルを選択する際に、必ず候補に挙がるような、デジタルバックの代表とも言えるモデルです。
ここからは作例を中心に、解説していきましょう。
IQ140とP45+の違いは画角です。
下の写真は同じレンズを使って、ハッセルブラッドでデジタルバックだけを交換して撮影したものです。ハッセルブラッドはレンズシャッターなので、撮影状況はすべて同じになります。
画角の差はこれを見ると、わずかと感じるかもしれません。ただ、建築など、引きの少ない場所で、どうしてもここまで入れて撮りたい、と言う時などは、少しでも広く写る3648センサーがありがたいでしょう。
また、この2枚は同じ条件で撮影して、C1のデフォルト設定で現像しています。機種によって、このくらいの色の差、明るさの差は出てきます。中判デジタルを使うツボは、現像ソフトの使い方が大きなウエイトを占めます。
下の2枚は左が撮ったままのオリジナルです。右はその画像を自分の表現したい紅葉のきらめきを出すために、調整をしたものです。いかに調整が大事か? よく分かると思います。
中判デジタルのダイナミックレンジがいかに広いか? 1つの例をご覧に入れましょう。
下の写真は左が適正と思われる写真です。紅葉を太陽の光で透かして、さらに背景は森なので、黒くつぶれます。撮影するにあたり、露出を決めるのが難しいシーンです。紅葉の赤が飛ばないようにしたのが左の写真で、それを適正と考えました。
真ん中はどうでしょうか?
実はこの画像の元は右の画像です。ここまでのオーバーの画像を真ん中のようにC1の現像で持ってくることができます。35タイプの一眼デジタルカメラではなかなかこうはいきません。画像に記録されているデータがどれだけ幅広く、そして打たれ強いか? それが中判デジタルのメリットでしょう。
中判デジタルのメリットとして、ありあまるほどの画素数があります。今回使った2機種はどちらも4,000万画素クラスです。一般的な35タイプの一眼デジタルカメラの倍近くの画素数があります。
ゆとりのある画素数なので、多少トリミングしても、作品として十分に使えるレベルになります。
下の写真は右が撮ったままのオリジナル画像です。それをトリミング、画像の調整を加えたのが左です。
このくらいのトリミングしても、まだまだ3968 x 5511ピクセルあり、大きくプリントしても平気です。等倍の画像をご覧ください。水のしぶき、1つひとつが美しいです。
1枚の写真を作品に仕上げていくためには、現像ソフトも大きなウエイトを占めます、ということは前に書きました。Phase OneではCaptureOne7(C1)という非常に強力な現像ソフトが標準で付いています。これを使うことで、自分のイメージを作品にまで昇華させる武器になるでしょう。
下の写真は右がオリジナルです。モノクロに変換、コントラスト調整と、アオリのような変形、さらに焼き込みを行いました。最終的にプリントの質感を出すために粒状感も加えています。ここまでがC1だけでできるのです。
最後に今回の2機種の操作を動画で紹介します。
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