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第2回:ハッセルブラッドのVシステムにデジタルバックを取り付ける

解説::湯浅立志/フォトグラファー
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この連載では、広告や雑誌の第一線で活躍しているフォトグラファー、湯浅立志氏が、「中判デジタル」の世界の魅力をさまざまな視点から解説していきます。中判デジタルといっても、ハード面、ソフト面、撮影テクニック面など、語るべき内容は山ほどあります。第2回目は眠っているハッセルブラッドを中判デジタルカメラとして生き返らすための方法です。

●ハッセルのフイルムカメラをデジタルにする

前回のデジタルバックのセレクト編に続き、今回は、最初の一歩として、実際にハッセルブラッドにデジタルバックを取り付けるまでを解説しましょう。
現在、中判デジタルでは、既存の中判カメラにデジタルバックを取り付けて撮影するケースが、最も一般的です。既存の中判カメラに取り付けるメリット、デメリットは前回に書いた通りですが、今回は最も多いユーザーだと思われる、ハッセルブラッドにデジタルバックを付けてみましょう。
ハッセルブラッドと一言で言っても、歴史のあるメーカーですから、数多くの形式が残っています。中判デジタルとしてデジタルバックを取り付けられるカメラは以下です。
ハッセルブラッド「Vシステム」
ハッセル555ELD / 553ELX / 503CW / 501CM / 903SWC

注意!:上記以外のハッセルブラッドでも動作するケースはあるようです。メーカー、取扱店にご確認ください。ハッセルブラッドにはHシリーズもありますが、Hシリーズは前回に解説したように、一部のモデルを除き、ハッセルブラッドのデジタルバック以外は動作しないので、今回は除きます

今回はVシステムの中から「503CW」を例にとって、実際に使うまでの手順を解説いたします。

フィルム時代に夢だったハッセルブラッドです。少しずつレンズを買い足したりして、中判写真を楽しんできましたが、デジタルになって、すっかり使わないカメラになりました。今回はせっかく買ったハッセルブラッドに、再度、デジタルという日の光を当ててみましょう。

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▲左から、100mm、150mm、50mm、80mmを付けた503CW(クリックで拡大)

まず、最初にやるべきことは、デジタルバックを購入すると付属される、このマスクをファインダーに入れることからです。

前回にも書いたように、フィルムの6×6より、中判デジタルは写る範囲が狭く、そして、正方形ではありません。縦位置と横位置で写る場所が変わるので、左のように十字型にマスクが切られています。

なお、このマスクは購入したデジタルバックのCCDサイズによって、大きさが違います。大きめのサイズ(IQ180など)と、小さめ(サイズのIQ140など)というように。

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▲まず、デジタルバック付属のマスクをファインダーに入れる(クリックで拡大)

ファインダーフードを外し、中のファインダースクリーンも外します。

そこにマスクを入れます。

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▲ファインダースクリーンをはずしマスクを入れる(クリックで拡大)

その上から今までのファインダースクリーンを入れます。

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▲次にファインダースクリーンを入れる(クリックで拡大)

よくマスクをこのファインダースクリーンの上に置いている人がいますが、正式にはマスクが下になります。

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▲マスクを入れたところ(クリックで拡大)

フードを付けて、ファインダーを覗き込むとこうなります。

縦位置と横位置を一緒に表示しているため、このように十字型になります。クリアに見えているところが写る範囲です。

実際に使ってみると、マスクと実際に写るところとは若干の誤差があります。そのあたりは慣れていくしかないでしょう。

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▲クリアに見えているところが写る範囲(クリックで拡大)

カメラの用意が出来たら、デジタルバックを取り付けます。

左の写真はフィルムホルダーとデジタルバックの比較です。

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▲左からフィルムホルダー、Phase One IQ140、Phase One P45+の背面(クリックで拡大)

カメラ側から見たところです。

フィルムの大きさに対して、CCDの大きさが分かると思います。この大きさの違いが実際の画角の差になります。

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▲カメラ側からデジタルバックを見る。CCDのサイズの違いが分かる(クリックで拡大)

フィルムホルダーは単純な構造なので、薄く出来ていますが、デジタルバックは液晶があるため、多少厚みがあります。

右のPhase One P45+はバッテリーがむき出しになっていて、バッテリーの番号を書いているため1になっています。

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▲横から見たところ(クリックで拡大)

Phase One P45+のバッテリーです。このようにサイドにスライドさせて入れます。Phase OneのPシリーズはすべて同じ形式です。

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▲Phase One P45+のバッテリー(クリックで拡大)

IQ140のバッテリーです。IQシリーズになり、バッテリーは内蔵型になりました。

なお、Pシリーズと、IQシリーズではバッテリーは共通です。

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▲Pシリーズと、IQシリーズではバッテリーは共通(クリックで拡大)

Phase One P45+の左サイドにはコンパクトフラッシュを入れるカードスロットがあります。

使用できるメモリーカードはCFのみです。

液晶側にある端子は上からマルチコネクター、シンクロターミナル。

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▲Phase One P45+のコンパクトフラッシュを入れるカードスロット(クリックで拡大)

Phase One IQ140も同じ構造です。

カードスロットの下にある端子はUSB 3.0の端子です。

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▲Phase One IQ140のカードスロット(クリックで拡大)

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▲503CWにフィルムホルダーを取り付けたところ(クリックで拡大)
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▲Phase One IQ140を取り付ける(クリックで拡大)
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▲Phase One P45+を取り付ける(クリックで拡大)

上記で準備完了ではありません。

ハッセルブラッドのように、フィルム専用のカメラにデジタルバックを取り付けるときは、左のようなシンクケーブルが必要になります。これはシャッターがいつ切れたか? をデジタルバックに信号を送るものです。これにより、シャッターが開いているときに、デジタルバックが露光されるという仕組みです。

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▲シンクケーブル(クリックで拡大)

デジタルバックのマルチコネクターにシンクケーブルを差し、レンズのシンクロターミナルにつなぎます。

文字だけの解説だと分かりにくいので、YouTubeに動画での解説をアップしています。そちらをご覧ください。



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▲シンクケーブルをレンズのシンクロターミナルにつなぐ(クリックで拡大)

僕自身はPhase One 645を使っているので、久しぶりにこの構えで写真を撮りました。

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503CWにファインダーを交換、モーターワインダーを付けるとPhase One(マミヤ) 645Dなどと同じようになります。僕も以前はこのスタイルで撮影していました。

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▲503CWにモーターワインダーを付ける(写真右)。(クリックで拡大)

ハッセルブラッドを中判デジタルにする時の最大のデメリットは広角レンズがないことです。

左はマミヤの28mm、右はハッセルブラッドの50mmです。6×6でこれ以上の広角となるとSWCなどを使います。500シリーズとSWCをお持ちなら、風景などでもそれほど不自由はしないでしょう。

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▲左はマミヤの28mm、右はハッセルブラッドの50mm(クリックで拡大)

なお、余談ですが、ハッセルブラッドVシリーズのレンズをPhase One、マミヤ645のカメラに付けるマウントアダプターもあります。

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▲Vシステム用レンズのマウントアダプター(クリックで拡大)

手動絞りになりますが、このアダプターを付けることにより、今までのハッセルブラッドのレンズが新しい645に付けられるのは、古くからのユーザーにはありがたいことです。

手動絞りなので、モデル撮影では使いにくいですが、古いシステムから新しいシステムへの移行にはよい方法だと思います。

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▲ハッセルブラッドのレンズをPhaseOneのカメラに取り付ける(クリックで拡大)

また、Vマウントの特徴として、もっとも汎用性がある点があげられます。

左は4×5のジナーPに付けたPhase One H25です。このように、いろいろなフィルムカメラに取り付けられるのがVマウントのメリットでもあります。

今回はデジタルバックをカメラに付けるまでを解説いたしました。次回は、実際の撮影を中心に解説する予定です。

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▲Phase One H25を4×5のジナーPに取り付ける(クリックで拡大)




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