●「ビット数」をおさらい
前回まで、現像に関して基本的なことを中心にお話ししました。この後は特定色をどのようにに合わせていくかという問題や、細かい画像処理の解説になると思うので、それらは後回しとしましょう。
今回からまたハードに戻って、16ビットセンサー出力や高解像度センサーの手ぶれなどについて考察してみたいと思います。ちょっと堅めのお話ですがおつきあいください。
まずは簡単にビット(以下ビット)数のおさらいです。コンピュータは二進法で考えます。二進法は数値が1とゼロしかありません。たとえて言うなら、電球が点いているのか点いていないのか、ONかOFFか、という2種類の設定値であり、これが最小単位となります。これこそがデジタルで、1とゼロの中間はあり得ないのです。
1ビットはゼロか1かを規定します。つまり2値を表します。
2ビットは1ビットが2つ組み合わさり、4値を表します。
3ビットは3つの組み合わせで8値、
4ビットは4つの組み合わせになり、16値を表すことができます。
5ビットは32値
6ビットは64値
7ビットは128値
そして、8ビットは256値の変化を記録でき、これがRGBの3色の掛け合わせになるので、約1670万色を記録、再現できることになります。モノクロの場合は256段階、カラーの1670万色は人間の目にとって、十分自然に見える色彩再現だと言うこともあって通常アウトプットは8ビットで表示されます。カラー画像はRGB/8ビットの場合、256×256×256=16,77,216となり1,677万色(フルカラー)を再現すると言われるゆえんです。
●目で見るビット数による階調表示の違い
ただ、これだけの情報量をもってしても、それは「再現する時に必要な情報量である《というだけのものです。その画像にトーンカーブや色相・彩度を調整、変化させると、元の階調を搊なってしまい、あるところは詰まったり、あるところは階調が伸張され、情報が滑らかにつながらなくなってしまい、そこにバンディングなどの問題が出現するのです。
そのためデータ量は膨大になりますが、8ビットよりも高いビット数で画像編集することにより、その際のデータ搊失、階調欠けを抑えていく必要があるのです。ビット数が多ければ多いほど連続階調…自然な変化に近づくのです。
8ビット以上のビット数による情報量の違いは以下の画像の通りです。通常私たちが使用するのは8ビット以上ですが、2ビット上がるごとに合計情報量は64?もの量に増加します。8ビットと10ビットの差だけでも凄いものですが、14ビットが4398億なのに対して16ビットは28兆という天文学的な数字になっているのが理解できるでしょう。
ちょっとおさらいしますが8ビットから16ビットまで、代表的なビット数の総量を並べてみました。たった2ビットの差に見えますがその実は2倊どころではなく、64倊もの情報量を持っている…おまけにビット 数が高くなればなるほどその量は膨大になっていくのです。
▲8ビット/256階調=256×256×256=16.777.216(1670万) (クリックで拡大)
▲10ビット/1,024 階調=1024×1024×1024=1.073.741.824(10億7千万)64倊(クリックで拡大)
▲12ビット/4,096 階調=4096×4096×4096=68.719.476.736(687億)64倊(クリックで拡大)
▲14ビット/16,384階調=16384×16384×16384=4.398.046.511.104(4398億)64倊(クリックで拡大)
▲16ビット/65,536階調=65,536×65,536×65,536=281.474.976.710.656(約28.1兆)64?(クリックで拡大)
デジタルは、必ずゼロか1という割り切れる数値で物事を考えます。その際に再現できる差を細かくしていけば当然無段階表示に近づいていくわけです。分かりやすいように モノクロの階調数と考えてちょっと図式化してみました。8ビットで表示可能な階調数は256階調ですが、それを16階調として仮定します。
現実に普通のさまざまな情報が入り乱れる絵柄では、あまり違いがないかもしれませんが、ハイライト側になだらかなグラデーションを有しており、150から255までまんべんなくつながっているような写真の場合は、そのグラデーション再現などで差が出てくるでしょう。
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