連載
●中判デジタルのススメ
●インタビュー
Archive
●中判デジタル雑学講座
●「Capture One」スタートアップ講座

●中判デジタルカメラ関連リンク集

第15回:中間調の設定

鹿野宏/カメラマン http://www.hellolab.com
電塾 http://www.denjuku.org/

ここでは、中判デジタルカメラの入門者向けの記事として、中判デジタルカメラとは何か? デジタル一眼などと比較してどこが優れているのか? などを具体的に解説していく。現像編として、ホワイトバランス、ハイライトとシャドウの現像設定に続き、今回は中間調を解説する。

●中間調の見方

ホワイトバランスを整え、ハイライトとシャドウを決定した後は中間調を整えます。

中間調はハイライトポイントの決定ほど気を遣わないですみます。何故ならホワイトバランスとハイライトが決定したその時点でほとんど写真は完成しているからです。ただ、中間調とハイライトは密接ににつながっています。中間調を生かすためにハイライトを犠牲にする場合もあれば、画像の周辺を暗くして際立たせることもありなのです。


photo

▲このサンプル画像は午後遅めの太陽光モードでの撮影です。秋色を出すために実際の色温度からはずれていますが、秋色を出すためにはちょうど良さそうでした。ヒストグラムを見ると、明るい側のカーブがいきなり断崖のように落ち込んでいます。これでは空がすっかり白く、トーンを感じません。また、日陰になっている部分はもっと暗く存在感を落としたいと感じました。(クリックで拡大)


photo

▲まずは露出でハイライトをすべてレンジの中に入れてしまいます。−0.4まで追い込んでみました。いきたい方向に進みはしましたが、暗い側はすでにブルーが飽和し始めており、このままでは暗い側のトーンを壊してしまうので、露出をこれ以上下げるのは控えた方がよいと判断しました。(クリックで拡大)

photo

▲次にハイライトをさらに落とし込むのですが、Capture One 7の場合は「ハイダイナミックレンジ」のハイライトスライダを上げて、明るい部分だけの濃度を足すことが可能です。ハイライトを50ポイントまで上げると空の濃さと中央の白く輝く河のコントラストがはっきりとしてきました。ヒストグラムも明るい側はまんべんなくグラデーションを描いているようです。(クリックで拡大)

●中間調をコントロールする

さて、ここから中間調をコントロールするわけですが、Capture One 7はコントラストは中間調だけでなく全体をダイナミックに動かします。アプリケーションによって中間調をメインに動作するタイプもありますので、自分のアプリケーションのスライダーの動きを良く把握しておくことが重要です。ここでは破綻を起こさないようにコントラストはそのままにしておきました。もともとコントラストが高い画像ですので、中間調はこれで十分になったようです。


photo

▲紅葉に陽が当たっている部分のコントラストを上げ、かつシャドウをもっと暗くコントラストを落として左側の紅葉と崖、そして流れ落ちる水に焦点を合わせたいので、まず紅葉の部分がカーブ上の、どのあたりにあるのかを確認します。(クリックで拡大)


photo

▲シャドウ部を緩やかに落とし込み、紅葉の樹木のあたりのカーブをほんの少しだけきつめにしました。かなりバランスが取れてきたようです。(クリックで拡大)

photo

▲中間調を際立たせるためにビネットを−0.8EVかけて完成させました。手前から右側影の部分は低いコントラストで暗く沈んでいて正解です。視線は画面中央の流れ落ちる水と紅葉と断崖に集中します。ディスプレイやインクジェットプリントに最適な仕上がりだと思います。(クリックで拡大)

photo

▲印刷にかける場合はハイライトはこれで構わないのですが、コントラストが強すぎでシャドウがつぶれてしまいます。そこで露出を0に戻しハイライトにもシャドウにも余裕のあるデータを制作します。印刷の場合、これでもシャドウが濃いかもしれません。その場合は「シャドウ」スライダを調整します。(クリックで拡大)

 
 
 


●モデル写真の中間調の設定


photo

 

◀この作例は前回もハイライトをやや飛ばしてハイキーな作例を作るために使用しました。今回は顔の部分、いわゆる肌色の中間調をコントロールしてみたいと思います。やりたいことはシャツの質感をもう少しはっきりさせ、肌のトーンを柔らかく仕上がることです。(クリックで拡大)

photo

photo

photo

▲スポイトツール]を使用してシャツの明るい部分と暗い部分を特定し、その部分のコントラストを上げます。顔が暗くなってもここでは気にしません。(クリックで拡大)
photo
  photo
  photo
▲今度は肌色の中のもっとも明るい部分と暗い部分を特定し、ここはコントラストを下げるためカーブを寝かします。肌色に破綻がでないようにハイライト側のポイントが邪魔なときは都合の良い場所に移動させます。ハイライトの効果は少しくらい弱まっても構いません。(クリックで拡大)
photo   ◀ハイライトのコントラストを立てたおかげで全体が暗くなりました。ほんのちょっとハイライトが飛ぶところまでさらに露出を調整して完成です。(クリックで拡大)

現像に関しては基本的なことを中心にお話ししました。この後は特定色を以下に合わせていくかという問題や、画像処理のお話になると思うので今回は、ここでいったん完了とします。

次回は16Bitというセンサー出力と高解像度センサーの手ぶれなどについて考察してみたいと思います。
(2013年9月)


| ご利用について  | 広告掲載のご案内  | プライバシーについて | 会社概要 | お問い合わせ |
Copyright (c)2010 colors ltd. All rights reserved