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第14回:ハイライトとシャドウの現像設定

鹿野宏/カメラマン http://www.hellolab.com
電塾 http://www.denjuku.org/

ここでは、中判デジタルカメラの入門者向けの記事として、中判デジタルカメラとは何か? デジタル一眼などと比較してどこが優れているのか? などを具体的に解説していく。今回は現像編として、前回のホワイトバランスに続き、ハイライトとシャドウの現像設定について語っていきます。

●ハイライトを見極めることが大切

前回までで、撮影画像のホワイトバランスが整ったら、次に階調を整理していきます。

もっとも重要なことは、ハイライトポイントを決定することでしょう。絵柄によってさまざまなシーンがありますが、最初にハイライトの定義をしておきましょう。

データが255になったところは「飛んで」います。印刷の場合は250より上は網点がほとんどつきませんので「250より上だと飛んでしまう」と考えていいでしょう。ここは「ハイエストライト」と呼びます。まったくデータがなく、白く抜けた部分です。そしてそれよりもやや暗い部分、RGB値で245〜250程度の部分をハイライトと呼び、そこは「大変明るいけどトーンを再現できている部分」と言うことになります。このハイライトをコントロールすることが露出コントロールによる絵作りにつながります。

ハイライトとハイエストライトを効果的に設定するために、許容するべき白飛びを見極めることは重要です。


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▲逆光で撮影しています。髪の毛やニットの一部に露出警告が出ていますが、これはあえて補正しない方がよいと判断しました。太陽光を髪の毛やニットが孕んだ逆光の美しさ、立体感を消したくなかったのです。(クリックで拡大)


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▲露出警告をOFFにしてみました。髪の毛やニットの一部が飛ぶことでもっとも明るい部分が「輝き」に感じられます。 人物の顔で白飛びがあった場合は補正したほうがよい場合があります。(クリックで拡大)

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▲白いシャツのあちこちにハイライト表示がありますが、これも無視しました。もともとハイキーで撮影しているため、ハイライト側の階調を大事にしたい写真です。主要被写体の中に「大きな面」になるハイライト飛びの塊があるときは補正するか撮影し直すべきでしょう。でも作例のような点、あるいはラインに沿ったハイライトは逆に明るい側の階調幅を最大限に広げてくれます。印刷の場合は紙白。ディスプレイの場合はそのディスプレイの最大輝度にあたるので、それよりもほんの少しだけトーンのあるハイライトを再現できるのです。(クリックで拡大)

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▲露出警告をONにしていますが、赤い部分が見当たりません。石膏像のマットでやや濡れたような質感を再現するためにトーンを隅々までつなげてハイエストライトが入ってしまうのを嫌い、意図的にハイエストライトがないように設定しました。(クリックで拡大)

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▲試しにハイエストライトをわざと作ってみました。こうなるとそこが白く飛んで薄っぺらい質感になります。(クリックで拡大)


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▲光沢感を出したいときはコントラストを上げ、ハイライトを被写体の形に添って飛ばすことで光沢感をより強く演出できます。(クリックで拡大)

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▲RGBデータのうちどれかの情報が255になってしまった場合は、トーンがつながらなくなってしまいます。こうなったときに起きるのが色飽和やトーンジャンプです。無理に明るく彩度を上げようとするとこの状態に陥りやすくなります。意図的でなければ明るさと彩度を同時に上げることはやめた方がよいでしょう。(クリックで拡大)

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▲露出警告をONにするとこれだけ大きな面積となって表示されます。この部分のトーンが失われているのです。(クリックで拡大)

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▲少し露出を落としてみました。これですべてのトーンがまんべんなく表示され、落ち着いた色彩のグラデーションとなっています。


●許容できるシャドウの決め方

ハイライトに比べて、シャドウの方がはるかに決めやすいようです。シャドウの定義もハイライトと同じく、もっとも黒い数値情報が0の部分ではなく、黒の中にもトーンを感じる10から25程度のトーンを持った黒みをシャドウと言います。

シャドウ側はRGBデータのどれかが0になっても、トーンジャンプや飽和感を与えません。実際に起きていても人間の目にはそう見えないということもあるでしょう。もっとも黒い部分はデータとしては「ゼロ」でちょっと怖いのですが、インキにとっては最大限のインキを打ち込んだことになり、簡単には「つぶれた」ようには見えないのです。(2013年8月)


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▲露出警告をONにすると、これだけ黒つぶれしているのですが…。(クリックで拡大)


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▲ディスプレイで見た感じでは、いやなつぶれかたをしていません。ただ、目的が印刷であったときはもう少しだけシャドウ側を起こした方がよいでしょう。(クリックで拡大)

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▲この料理の写真も問題ないように見えていると思います。でも情報を見るとニンジンのあたりはブルーの情報が完全に欠落しているのです。あまりに濃い部分が多くなると画像は重たく見えてしまうので、それなりの注意は必要ですが、シャドウはある程度成り行きでも大丈夫だと思います。逆にシャドウを持ち上げようとするとノイズが浮いてくることが多いようです。(クリックで拡大)




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