●高解像度なほど人物撮影に有利
以上が、元データが大きい方が大判プリント、質感再現に絶対的に「有利」だという理由です。5,000万画素程度となると人物を全身で撮影していても、顔の重要な成分である睫毛や眉毛も何とか解像するところまで持ってこれるのです。
画素数が上がることで「記録したい最小の形」が「再現不能な高周波成分の手前にある」状態になり、これは等倍にプリントしてもへこたれないデータとなるのです。学術的な意味合いで「肌の角質や産毛もすべて記録したい」といわれたら無理ですが、人物撮影の場合「記録したい最小の形」は通常眉毛の1本1本が解像すればそれでOKです。それ以上はほとんど「あら探し」となってしまうでしょう。その意味で5,000万画素以上のカメラは「究極の人物撮影専用カメラ」ということができます(風景の場合は、どこまで要求されるのか…シーンによって変動幅がありすぎて何とも言えません)。
ま、ここまでは若い女性のポートレートのお話しです。深いしわを刻んだ男性ポートレートなどをよりリアルに、印象的にしあげるとしたら、もっと解像感が欲しくなるかもしれません。
全身ポートレートを巨大に拡大したければ IQ180など、8,000万画素クラスのデジタルカメラを使いたくなるでしょう。近い将来1億画素のデジタルカメラの登場もあり得るかもしれません。そうなると全身像を撮影したとしても驚くほどの解像感を有し、どこをどれだけトリミングしても問題ないデータになります。
ただ、その分高いピント精度とレンズの解像力をを大幅に要求されるでしょう! ということで、次回はレンズの解像力について考えてみたいと思います。(2013年6月)
モデル:嶋脇礼華 阿部まり
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