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第10回:中判デジタルカメラによる人物撮影その2

鹿野宏/カメラマン http://www.hellolab.com
電塾 http://www.denjuku.org/

ここでは、中判デジタルカメラの入門者向けの記事として、中判デジタルカメラとは何か? デジタル一眼などと比較してどこが優れているのか? などをセンサー、レンズなど具体的な項目ごとに解説していく。今回は600万画素と5,000万画素による人物写真の比較から考えていきます。

●一目で分かる5,000万画素の必然性

前回に続き、作例のモデル写真から、人物撮影における高解像度のメリットを述べていきましょう。

①600万画素子を使用してアップで撮影したデータ(右上)と5,000万画素機で半身を撮影したデータを同率で並べてみました。モデルは異なりますが、ほぼ同じ顔の大きさに見えています。

②顔の部分を100%で並べてみました。

600万画素で撮影された顔のアップは「再現したい最小の形が記録されているため」どこまで拡大しても問題ないのです。5,000万画素の半身像の顔の部分の実サイズ(絶対解像度)がほとんど同一なので、こちらは半身像の撮影ではあるけれど、表情の細部までしっかりと記録されていることを確認できると思います。

③人物写真。

ダウンロードして確認してみてください。モデルさんの髪、睫毛、眉毛、衣装の生地、縫い目、帯の刺繍などのディテールがマクロレンズで撮影されたように見事に再現されていることを確認できるでしょう。

※モデルの使用許可はこのサイトでの資料としてのみ得られています。ダウンロードして、個人で確認することは可能ですが「二次使用、加工」などは一切禁止いたします。


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①左が5,000万画素、右上が600万画素の撮影データ(クリックで拡大)


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②顔の解像感を比べる。左は5,000万画素の写真をトリミング(クリックで拡大)


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③オリジナル画像。約25Mバイト(クリックで拡大)

●高解像度なほど人物撮に有利

以上が、元データが大きい方が大判プリント、質感再現に絶対的に「有利」だという理由です。5,000万画素程度となると人物を全身で撮影していても、顔の重要な成分である睫毛や眉毛も何とか解像するところまで持ってこれるのです。

画素数が上がることで「記録したい最小の形」が「再現不能な高周波成分の手前にある」状態になり、これは等倍にプリントしてもへこたれないデータとなるのです。学術的な意味合いで「肌の角質や産毛もすべて記録したい」といわれたら無理ですが、人物撮影の場合「記録したい最小の形」は通常眉毛の1本1本が解像すればそれでOKです。それ以上はほとんど「あら探し」となってしまうでしょう。その意味で5,000万画素以上のカメラは「究極の人物撮影専用カメラ」ということができます(風景の場合は、どこまで要求されるのか…シーンによって変動幅がありすぎて何とも言えません)。

ま、ここまでは若い女性のポートレートのお話しです。深いしわを刻んだ男性ポートレートなどをよりリアルに、印象的にしあげるとしたら、もっと解像感が欲しくなるかもしれません。

全身ポートレートを巨大に拡大したければ IQ180など、8,000万画素クラスのデジタルカメラを使いたくなるでしょう。近い将来1億画素のデジタルカメラの登場もあり得るかもしれません。そうなると全身像を撮影したとしても驚くほどの解像感を有し、どこをどれだけトリミングしても問題ないデータになります。

ただ、その分高いピント精度とレンズの解像力をを大幅に要求されるでしょう! ということで、次回はレンズの解像力について考えてみたいと思います。(2013年6月)

モデル:嶋脇礼華 阿部まり


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