●イメージセンサーの役割
今回からはイメージセンサーについて考えてみたいと思います。まず、デジタルカメラの能力を測るモノサシとして、以下の項目が挙げてみます。
1.デジタルカメラの情報の要素は精細さを定義する画素数
2.明暗情報の細かさ(滑らかなグラデーション)を定義する階調数
さらに挙げると、
3.色の変化を定義する色相分離能力
4.ハイライトやシャドウをどこまで捕らえることができるかというダイナミックレンジ
5.暗い場所でも撮影できる高感度特性
そして連射の能力、転送スピード、インターフェイスなどが上記の項目に付随してくるのでしょう。
1から5までを実現するためにさまざまな「演算」を行い、画像を仕上げているわけですが、その大元のデータを取り込む役目をしているのがイメージセンサーです。
中判デジタルバックのデジタルカメラと、35mmタイプデジタルカメラの最大の相違点は、そのセンサーサイズにあります。一眼レフタイプは APS-C あるいは35mmフルサイズです(今はもっと小さいイメージセンサを持つ一眼レフタイプも存在しますが、ここでは触れません)。10年以上前に、400万〜600万画素時代のカメラバックタイプが搭載していたのが35mm一眼レフと同じサイズのイメージセンサーです。
現在の中判デジタルバックのイメージセンサーは、ほとんどが6×4.5と同じかそれに近いサイズになっており、総面積で35mmの2〜4倍近い差があります。画素数では3,000万画素オーバーで、最大は8,000万画素まで存在します。一方、35mmタイプ一眼レフにも最大で3,600万画素のニコンD800(2013年1月時点で唯一)がありますが、中判タイプデジタルカメラの画素数の下限がちょうどそのくらいです。
●イメージセンサーの仕組み
中判デジタルバックとデジタル一眼の価格差の最大のポイントは、このセンサーサイズによります。イメージセンサーはサイズが大きくなればなるほど歩留まりが悪くなり、価格は双曲線を描いて高価になります。けっして高画素数が原因ではないのです。ただし、大きなセンサーの場合、画素数を増やすために無理をして画素ピッチを小さくする必要がない、という点は大きなアドバンテージとなります。これにより同じ画素数であっても画素ピッチに余裕を持たせることができ、「1画素」が捕らえることができる光の階調をより多く取り込むことが可能になっているのです。もちろん35mmタイプのデジタルカメラでは不可能な8,000万画素も実現できています。
さらに大きな「ボケ」も期待できます。より精細な画像記録も期待できるのです。では大きなイメージセンサーが私たちにもたらす恩恵とは何かを考えてみましょう。
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