・リレーコラム:女子フォトグラファーの眼差し

・プロが愛用するコンパクトデジカメ

・私のレンズ、この1本





本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!



第32回 仲田絵美

[プロフィール]
1988年、茨城県生まれ。2011年、写真ワークショップ 松本美枝子の「キワマリ荘の写真部」を修了したのち、公募展などで作品の発表をはじめる。2012年、第6回写真「1_WALL」審査員奨励賞受賞(小林紀晴・姫野希美 選)、第7回写真「1_WALL」グランプリ受賞。2013年、グランプリ受賞者個展として「よすが」(ガーディアン・ガーデン)を開催した。そのほか展示に、2013年「いつかみたいな」(水戸のキワマリ荘)、2014年 「奇跡を待ちながら」(西根の家)、2015年「あわい」(OGU MAG)などがある。2015年、写真集『よすが』(赤々舎)を刊行。



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■iPhoneで撮影


飛行機に乗る機会が増えた。人間を乗せた鉄のかたまりが、真っ直ぐな滑走路をぐんぐんとスピードを上げ空中に飛び立つあの瞬間は、いつでも私を動揺させる。いくら安全確認がとれていると言ったって、私自身が飛行機を作ったわけでも、安全のための実験を行ったわけでもないわけだから、命がけのギャンブルみたいな、そんな気持ちがある。

もうすぐ94歳になるうちの祖母は、私が飛行機に乗ることを知ると、まるで一生のお別れでもするかのような顔をして私を見るのだが、やめてほしい。「大丈夫だから」と声に出しつつ、内心かなり怖くなってしまう。

滑走路をどんどんとスピードを上げ走行する飛行機の中、異国の地へと膨らむ期待と、過去の思い出が混ざりあって一気にやってくる。はじめましてとさようならが同時にくるような妙な興奮、そして迎えるあの瞬間!思い出しただけでも疲れてしまった。

飛行機が空中へと上がるにつれ、さっきまで足元にあった地面はたちまち見えなくなり、地上はどんどんと小さくなる。いつのまにか街は現実味を失い、まるでジオラマでも見ているかのような錯覚に陥る。その時にいつも、私は私が恐ろしくなる。

想像力というものは、ある一定の守られた環境の中でその力を十分に発揮する。
自分がその環境から放り出された時、私は私の意思を守ることができるだろうか?
そもそも、その私の意思とやらは、いいことなのだろうか?

飛行機に乗るたびにそんなことを考える。
結局は、そうなってみないと分からないのだけど。





次回は茶谷真以さんです。

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