・リレーコラム:女子フォトグラファーの眼差し

・プロが愛用するコンパクトデジカメ

・私のレンズ、この1本





本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!



第31回 インベカヲリ★

[プロフィール]
東京都生まれ、写真家。一般人女性の人生を聞き取り、その心象風景を写真で表現するポートレート作品を撮影。国内外で展示を行っている。写真集に「やっぱ月帰るわ、私。」、共著に「ノーモア立川明日香」など。スガシカオのニューアルバム「THE LAST」ジャケ写撮影。文筆業もしており、月刊誌「新潮45」では、事件ノンフィクションも書いている。
http://www.inbekawori.com



▲街の中は、私有地で突然通れなくなる(クリックで拡大)
■RICOH GR II f/4.5 1/100秒 ISO800

▲夜は暗すぎてお化けが出そう(クリックで拡大)
■RICOH GR II f/2.8 1/15秒 ISO800

▲謎のごみが散乱(クリックで拡大)
■RICOH GR II f/3.2 1/45秒 ISO800


●人の住まない街、大田区昭和島

車の運転が苦手な私は、移動はほとんど電車を使う。そのため撮影場所も都内に集中している。被写体の女性を撮るとき、背景はだいたい東京なのだ。写真集を出版したとき「都市が写っている」と言われて、私は初めて気が付いた。出身が東京なためかあまり考えたことはなかったけれど、なるほど自分は東京の街が結構好きなのだなと実感したのだ。

撮影以外でも私は東京の街をよく歩く。ロケ場所は常に探しているので、面白い場所があると聞けば、まずは散歩がてら行ってみる。

RICOH GR IIは、手軽に持ち歩くカメラとしては、軽くてとても便利だ。夜の街でも、スローシャッターで手ブレせずに撮れるし、いざとなれば印刷原稿にも使える。作品はいつもフィルムで撮るので時間も移動も慎重になるけれど、記録用として歩きながら撮るにはコンパクトのデジカメは本当に使いやすい。

写真は、大田区昭和島。住民0人の埋め立て地で、海に囲まれた人工島だ。工場と公園しかない小さな島なので、用事がなければまず来ることはないだろう。人の住まない街は、夜になるとどんな姿を見せるのか、ロケハンがてらフラリと行ってみた。

モノレールの車内は、羽田空港へ向かう乗客ばかりで、手前の昭和島駅で降りる人はほとんどいない。改札を出ると、東京湾の潮風が心地よく吹いていた。大きなグラウンドが見え、少年たちが野球をしている。地図を見ながら端から端まで歩こうとしたけれど、私有地で入れないところも多く、あっという間に終わってしまった。住民がいないかわりに、野良猫は多い。立ち入り禁止の金網の向こう側にも、猫の餌入れだけはしっかりと置いてある。夜になると街灯はほとんど無く、公園は怖いほどの暗闇だったけれど、猫たちはのんびりとくつろいでいた。人工的に作られた、人の住まない不思議な街。そんな場所へ、電車に乗ってすぐに行けるところも東京の面白さだ。


次回は仲田絵美さんです。



↑Page Top


| ご利用について | 広告掲載のご案内 | プライバシーについて | 会社概要 | お問い合わせ |
Copyright (c)2010 colors ltd. All rights reserved