・リレーコラム:女子フォトグラファーの眼差し

・プロが愛用するコンパクトデジカメ

・私のレンズ、この1本





本ページは、女性フォトグラファーの皆様によるリレーフォトコラムです。カジュアルなプライベートスナップから作品まで、仕事とも一味違う、リラックスしたパーソナルショットを拝見できればと思います。カメラはiPhoneなどスマホもOKです!



第16回 高木亜麗

[プロフィール]
栃木県生まれ。都内スタジオ勤務後、写真家 鈴木心に師事。2014年独立。雑誌、Webなどの仕事の傍ら、自身の作品制作も行っている。



http://takagiari.com/






▲写真はすべてCONTAX T3で撮影(クリックで拡大)


●現場の記憶

アシスタント時代の軌跡、と言うにはだいぶ大げさではあるけれど。
この時の私はただただ、福島という土地のさまざまな建物の壁にグレーの布を貼るのに必死だった。

これは地元の方々を被写体とした撮影の背景セッティングのためで、県内のあらゆる場所で適当な壁を探しては、その日限りの撮影場所を作るのがこの時の私の仕事だった。

壁材の違いで、簡単に布を貼れる時もあれば、どうやったってすぐ剥がれてきてしまうような材質の時もあった。素材の他にも、時間、方角、距離、足場、雨、風、雪…毎回多かれ少なかれ困難はあったけれど、結果的に私は1年で40近くの壁にこの背景を作ったと思う(全部を写真に収められなかったのが心残り、、)

撮影機材はデジタル化されても、現場作りは結局手作業。フリーとして独立した今もそう思う。
面倒なこともだいぶ多いその地味な作業が、私は意外と好きだったりする。
撮った写真はもちろん物として残るけれど、現場の雰囲気や形もまた、各々の記憶に残ると信じている。

そこにある風景をまんま切り取る写真も悪くない。けれど皆が手作業で作った現場で撮られる写真、そしてその記憶も! とっても乙なものなのです。


次回は丸尾和穂さんです。 



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