その後、デジタルカメラを使う機会が多くなった頃に、手ぶれ補正機能が装備され光学系も一新した「EF70-200mm IS USM」に変更した。手ぶれ補正のために光学系は増えているため、画質は多少落ちているんじゃないかという不安があったのだが、スコンと抜けたような高いコントラストとキリっと気持ちいい解像度の高さは健在で、逆に応用範囲が広がることになる。超望遠レンズでは案外長くて困ることの多い最短撮影距離がこのリニューアルでかなり短縮されていることも、実際の現場で助かる良い改良点だ。
コンサート会場でアーティストを撮影する場合もこの焦点距離がぴったりとマッチして使い勝手が良かった。VTRの同時撮影が入るような超大型のコンサートを除けば、通常スチルカメラマンは観客の最前列とステージの間にある1~2mの隙間から撮影することが許されているものだが、ここから70-200mmでEOS1D系の1.3倍画角で狙うとボーカリストやギタリストの全身に近い絵から表情のアップまで楽に撮ることができるため、必要なカット数の実に7~8割はこのレンズで賄うことが可能になる。300mmF2.8のような重さがないためステージの右に左に観客席にと動き回る場合こともそれほど苦にならない。EF70-200mm IS USMは開放絞りでも十分に高い画質が得られるため、ISO 1600程度の設定でも動きのある演奏者をなんとか写し止めることができる。高い手ぶれ補正能力は、このようなシーンに最適で、撮った画像が実際に使えるカットとなる「ヒット率」を格段に高めることができた。