●8年間使い続けている「EF24-70mm F2.8L USM」 キヤノンのズームレンズ、「EF24-70mm F2.8L USM」（以下24-70mm/F2.8）が発売されたのは8年ほど前。ちょうど私がスタジオアシスタントとして勤めていて、フリーランスのカメラマンのスタートを切る準備をしていた時期です。 それまで学生時代に買った「28-70mm/F2.8」を使っていましたが、24-70mm/F2.8の明らかに変化した使い心地に惚れ込んで、迷うことなく買い替えたのを覚えています。 これは絶対に自分に必要なレンズだと思いました。28mmと24mmの差はとっさのフレーミングが必要な現場では大きな違いとなり、そしてマクロが38cmまで寄れるようになったことも非常に大きなメリットでした。 以来、カメラ本体は変わってもこの1本は常に一緒。本当に使い込んでいて外装はだいぶ年季が入っていますが、AFの精度の落ちやピントのずれなど不調が出るとすぐに気がつき、こまめにメンテナンスに出しています。 私の仕事は、カンプに沿って決まった画角の中でクオリティを追求していくような類いの仕事はどちらかというと少なめです。限られた時間と状況の中で自分の判断で自由にできるだけいろいろなバリエーションを撮り、その中から良いカットを選ぶという現場が多く、レンズ交換の間も惜しまれる状況が多いためズームレンズがメインで活躍します。 単焦点にこだわる方もいますが、自分自身はマクロ以外の単焦点はほぼ使っていません。ただ、この1本のズームレンズの中でも、だいたいですがそれぞれ24、35、50、70mmの時に、どのくらいのF値で、どのくらいの被写界深度の違いが出て、どんな表情の違いを見せるかは、感覚に染み付いていて使いこなしていると思います。 ▲24-70mmはモデルさんと自然な距離でコミュニケーションできる画角。焦点距離70mm、f/4.0、1/125　（クリックで拡大） ▲赤ちゃんがあくびをした決定的瞬間を！　シャッターチャンスを逃さないAF性能。焦点距離70mm、f/6.3、1/60　（クリックで拡大） ▲背景はぼかしたいけれど、ぼかしすぎずに背景の町並みの情報も写し込みたい。そういう時にも思い通りに画面構成できるレンズ。焦点距離66mm、f/4.0、1/250　（クリックで拡大） ●呼吸するようにアングルが決められるレンズ レンズの特徴としては、旧型に比べて色が地味（あっさり？）になったとか言われていましたが、私が好きなふわっと逆光をまとった明るく滑らかな描写に向いていると思います。 仕事では、短時間で大量のバリエーションを撮影するストックフォトやブライダル、グラビア、取材撮影などが多いため、アングルを一瞬で決めることがとても大事。なので身体の一部のようにぴったり扱えるレンズが必要不可欠。この1本は特に呼吸するようにアングルが決められるレンズです。 なにしろ950gと重くて大きく女性には辛いので、他に何かよい標準ズームはないかと他にもコンパクトなものを何本か使ってみましたが他のレンズではどうもイヤで、メインのレンズとしてはこれ以外に考えられませんでした。 寄れる距離も、24mmも、F2.8も、ボケ味も、すべて自分の写真にとってなくてはならない要素。大きくて重いのに、プライベートな旅行にも悩んで結局24-70mm/F2.8を持って行ってしまいます。 ▲手前に置いた本のように、前ボケの風合いも好み。焦点距離70mm、f/3.2、1/100　（クリックで拡大） ▲高さ9cmほどの小さなピッチャーに入ったはちみつ。被写体距離0.4m。38cmまで寄れます。旅行の時の食べ物スナップなどは自分が食べる距離で席に座ったまま撮れる画角と距離ですね。焦点距離70mm、f/4.0、1/60 （クリックで拡大） ●5D Mark IIとの組み合わせも不満なし 他には「EF70-200mm/F2.8L」もよく使いますし、「EF16-35mm/F2.8L」、「EF100mm/F2.8 マクロ」も活用していますが、利用頻度は24-70mm/F2.8がダントツです。いままでどれだけの写真を撮ったことか。 ちなみにカメラ本体に関してですが、フィルムの時代から仕事をしているので、どうしてもフルサイズCCDでないととっさの画面構成において100％の力が出せない感じがして、フルサイズのカメラしか使っていません。 現在は5D Mark IIを使っています。24-70mm/F2.8は8年前の古い設計レンズなの に、この組み合わせでも優秀でいまのところ不満なく愛用しています。 新型のレンズが出る噂できっとISが付くと思うのですが、標準ズームに関しては、そんなにISの必要性は感じていないので、デジタルでの解像力がどれだけ変わるのかに興味があります。28-70mmからこのレンズになったときほどの感動はきっとないとは思いますが、早く触ってみたいですね。

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