・プロが愛用するコンパクトデジカメ

・私のレンズ、この1本





このコラムではプロカメラマンが愛用しているコンパクトデジカメについて、
その購入動機や気に入っている点などを、作例とともに語っていただく。




▲レンズ鏡銅やボディの質感、重厚感はソニーらしいアイデンティティが溢れでていて、手抜きはありません。ちなみに、E 16mmF2.8には他社製品のフードを装着して、ちょっぴりカッコつけてみました。(クリックで拡大)

No.04


ソニー「NEX-5」
撮像素子:23.4×15.6mm Exmor APS HD CMOSセンサー、有効画素数約1420万画素
キットレンズ:E 18~55mm F3.5~5.6 OSS(35mm換算値 27=82.5mm)、E 16mm F2.8(35mm換算値 24mm)
レンズ構成:9群11枚( E 18~55mm)、5群5枚( E 16mm F2.8)
2010年6月3日発売




文:藤城一朗(フジシロ イチロウ)
東京都出身。学習研究社映像局を経てフリーランス。エディトリアル、PR誌、インテリア、スポーツ等の依頼撮影以外に、植物をテーマとした写真を鋭意撮影中。ほかに写真教室の講師や、カメラ誌等への寄稿、セミナーでの講演などをこなす。個展「夢花シリーズ」「亜細亜紀行」など。グループ展、団体展へは多数参加。社団法人日本写真家協会会員。http://www.ichipon.net


●市民権を得たミラーレス一眼
今、世の中はミラーレス一眼ユーザが増殖しています。若い女性たちはファッショナブルに着飾ったミラーレスをもって街を闊歩し、撮影を楽しんでいます。女性にうけるカメラというのは、やはりヒットするのでしょうか。2010年度のカメラグランプリは、オリンパスペンでした。どちらかというと黒一色なデジタル一眼レフが多かったオリンパスにしては、ペンは異端児(すみません!!)。とっても美しいカメラだと思います。

もっとも、ミラーレス一眼というのは正式名称ではないようで、今までの一眼レフと明確に差別化するためにつくった、造語のようです。一眼レフからレフをとって、デジタル一眼ともいわれていますが、ここではあえてミラーレス一眼と呼ぶことにしたいと思います。

そんなミラーレス一眼ですが、そもそもフォーサーズ陣営が、マイクロフォーサーズを規格化したことから始まりました。「コンパクトデジタル以上、一眼レフ未満」というニーズによくマッチしたミラーレス一眼は、瞬く間にブームを巻き起こしたわけです。オリンパスとパナソニックが提唱したこの新しいジャンルは、初心者からプロまでが魅力を感じるシステムに育ちました。ファッショナブルでありながら比較的コンパクトなボディやレンズ、しかも画質は一眼レフクオリティですから、老若男女を問わず、市民権を得たのは当然のことでしょう。




▲絞り開放で撮影しました。柔らかなボケ味と、ピントが合ったところのシャープさは、αレンズと同じような描写です。フォーカスエリアは25点あるので、狙ったところへのピント合わせがしやすく、使い勝手は良好です。E 18~55mm F3.5~5.6 OSS/1/1250秒/F4.5/ISO200/-0.3EV補正 (クリックで拡大)



▲RAWデータから、トーンカーブを用いてシャドー部の明るさを抑えました。ダイナミックレンジが広く、白トビと黒ツブレに注意した露出設定をしておけば、階調を失うことなく、撮影意図に近づける補正が行なえます。E 18~55mm F3.5~5.6 OSS/1/250秒/F7.1/ISO200/-0.3EV補正 (クリックで拡大)



▲日没後の雰囲気描写をスポイルすることなく、しかも被写体ブレと手ブレを軽減するため、ISO1600にて撮影しました。NEX-5はこの程度の感度であればノイズ感が少なく、1600は安心して使える感度といってもよいでしょう。
E 18~55mm F3.5~5.6 OSS/1/80秒/F4.5/ISO1600/-0.7EV補正 (クリックで拡大)


新次元ミラーレス一眼の誕生
さて、マイクロフォーサーズが切り開いたミラーレス一眼に、フォーサーズ陣営以外が割り込むのは大変なことだと思います。ところが、突如としてソニーがこのジャンルに参入しました。それが、NEXシリーズです。まず、デザインからみれば、オリンパスでもパナソニックでもありません。やっぱり、ソニーのデザインです。ボディやレンズの質感はすばらしく、見ただけで欲しくなってしまいました。

ところで、コンパクトカメラユーザーの方々がいだく不満の多くは、背景が思ったほどボケないということでしょう。マイクロフォーサーズ一眼はコンパクトカメラに比べて背景がボケるため、それだけでも満足感を提供しました。でも、写真愛好者やプロ写真家たちは欲張りです。センサーサイズを大きくすれば、ボディやレンズは大きくなってコンパクト性が失われてしまうことを分かっていながら、デジタル一眼レフなみのボケはやっぱりほしいね、と簡単に言います。そうした要望に答えたのかどうかは不明ですが、ソニーが出した答えは、APS-Cサイズのセンサーを搭載したミラーレス一眼でした。しかも、NEX-5ボディは世界最小最軽量(同クラス)。さらに、フランジバックを極端に短くしているため、αレンズのみならず、多くのレンズを装着することが可能になりました。

しかし、気になる点もあります。センサーサイズが大きくなったのにフランジバックが極端に短い、ということは周辺の描写があまりよくないのではないか、という点です。実際に撮影してみると、それは杞憂に終わりました。正確にいえば、周辺の描写はα一眼レフと同等ではありません。といっても、カメラの性格からしてみれば、許容できる範囲です。少なくても、私はそう感じました。そもそも、立体物を撮影することが多いわけですから、この程度の周辺描写は逆に立体感を醸しだしてくれます。

誤解のないようにいえば、NEXはかなり高画質なカメラです。その1つに、ダイナミックレンジの広さがあります。独自に測定したところ、ISO200で9.0EVありました。APS-Cクラスではトップクラスのダイナミックレンジを誇り、35mmフルサイズセンサーに匹敵する広さです。これだけの広さがあるので、補正を前提にしたRAWでの撮影が快適です。αのRAW形式であるARW ver.2に準拠しているため、複数の補正手順(パラメータ)を保存できるバージョンスタックはもちろん健在。嬉しいかぎりです。

それに加えて、αレンズのDNAを受け継いだ描写です。つまり、柔らかく、しかしシャープな描写ということです。ボケ味もαレンズに準じたボケ方をします。αレンズのテイストを享受できる描写に、大きな安心感を覚えました。現在、NEX用のEマウントレンズは3本しかありませんけれど、その3本ともが、すべてその特徴を引き継いでいます。NEXはαレンズの描写を気軽に楽しめるため、依頼撮影でストレスがたまっているときのガス抜きに最適でした。




▲上野東照宮の工事中にとらえたワンシーンです。背景は幕に描かれた絵ですが、だまし絵風に仕上げてみました。モノクロをイメージしながらRAWで撮影して、ソフトウェア上でモノトーンにおける階調補正をしています。E 18~55mm F3.5~5.6 OSS/1/100秒/F11/ISO200 (クリックで拡大)



▲ソニー一眼(レフ)の手ブレ補正機能は、流し撮り自動検知です。スナップではその機能が生き、とっさに流し撮りモードへ移行することができます。また、モノクロに仕上げることで、クロネコの黒をより強調しました。E 18~55mm F3.5~5.6 OSS/1/25秒/F5.0/ISO200/-0.3EV補正 (クリックで拡大)


▲α900に比べると赤外線カットにおける周波数特性が異なるため、NEX-5は赤外線撮影に向いています。また、小型軽量なので三脚が小さくすむこともメリットです。そうした利点を生かし、赤外線特有の効果を楽しんでいます。E 18~55mm F3.5~5.6 OSS/30秒/F11/ISO400 (クリックで拡大)


●フルスペックハイビジョンの動画も可能
ちなみにNEX-5は、AVCHD形式によるフルスペックハイビジョンの動画撮影も可能です。絞りやAFの動作はさすがソニー、ハンディカムに近い動きはみごとです。ただし、内蔵マイクでは風切り音がひどく、外付けマイクは必須ですね。やはり、NEXは静止画主体に考えたほうがよいと思いました。

ボディやレンズのデザイン、質感はフォーサーズ陣営のものとは一線を画しています。どちらが優れているか、という次元では語れませんが、ソニーらしいアイデンティティを感じたことは確かです。NEX-5は新しいコンセプトをまとったミラーレス一眼だと、個人的には思っています。末永く愛用したいカメラの1つになりました。

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