・プロが愛用するコンパクトデジカメ

・私のレンズ、この1本





このコラムではプロカメラマンが愛用しているコンパクトデジカメについて、
その購入動機や気に入っている点などを、作例とともに語っていただく。




▲G12は他のコンパクトデジタルカメラに比べると大きくて重い。でもその重さが手になじむ(クリックで拡大)

No.03


キヤノン 「PowerShot G12」

撮像素子:1/1.7型高感度CCD、約1,040万画素
焦点距離:f=6.1~30.5mm (35mm換算値で28~140mm)
F値:F2.8(広角)~F4.5(望遠)
レンズ構成:9群11枚(両面非球面レンズ1枚)
2010年10月7日発売




文:津島隆雄
1971年青森県生まれ。学校写真カメラマン、コマーシャルスタジオのアシスタントを経て1999年よりフリー。物撮りから人物などさまざまな写真業務全般、画像処理全般を手がける。


●カメラらしいカメラ
おおよそ今のコンパクトデジカメは小さくて、軽くて、カラフル。そんな中で、G12は、その黒くて無骨なボディの中に、今は忘れ去られたアナログのカメラを思い起こす風合いと最新の高機能の両面を持つ、カメラらしいカメラである。

●直感を大切にする操作性
撮影中、露出補正をしたい。しかし今のコンパクトデジカメは、メニューから露出補正を呼び出して、補正することになる。補正量が足りないとき、またメニューから呼び出す。カメラによっては、深いメニュー階層から呼び出さなくてはいけない。何回もボタンを押したり探したり、そうこうしてるうちにチャンスを逃す。

G12ならダイアルの操作一発でいける。感度も撮影モードもしかり。さらにメインダイアルと、サブダイアルでシャッタースピードも絞りも直感で操作できる。今のコンパクトデジタルではなかなかこうはいかない。日々仕事でキヤノン一眼を使用している私には一眼と同じように使用できるこの使用感が、何ともカメラらしくて嬉しく思う。

買ったけどなんか手に馴染まない。何がどこにあるか分からない・・・そんなカメラでは、いずれ使わなくなり、ほっぽっておかれるのは目に見えている。せっかくのカメラが可哀想だ。



▲上部に配置されたダイアルによって直感的に操作が行える(クリックで拡大)


●RAWが撮れる魅力
高画素化が進み、コンパクトデジカメでも今や1,000万画素オーバーの時代。G12は、あえて1,000万画素で良しとし、画質の向上と手ぶれ補正を研ぎすまし、格段の進化を遂げている。撮ったままのJPEGでも美しいが、このカメラはRAWが撮れる。ならばRAWで自分の求める写真をさらに追求できる。日々仕事ではRAW撮影し、RAW現像処理、Photoshopで仕上げる私には、このクラスでRAWを撮影できるのはありがたい。プライベートでも常に自分の求める写真に仕上げられるのは嬉しい。

プライベートでも一眼を持ち歩けばいいのだろうが、仕事以外では持ち歩きたくないこともある。そんな時、さっと撮影できて、自分の写真に仕上げられるのは嬉しい。




▲写真1:RAWで撮影後、DxO 6.5.2で処理。ライトアップされた紅葉。通常このようなシーンでは手持ち撮影は厳しいが、手ぶれ補正が効いていて手持ちで撮影ができた(クリックで拡大)



▲写真2:RAWで撮影後、Adobe Camera Rawで処理。RAWで撮影しているので後からドラマチックに仕上げることができる。画像の劣化も少ない(クリックで拡大)


▲写真3:RAWで撮影後、Adobe Camera Rawで処理(クリックで拡大)



▲写真4:RAWで撮影後、Apertureで処理。撮影後イメージを追い込む作業はデジタルカメラの楽しいところ(クリックで拡大)


▲写真5:RAWで撮影後、Adobe Camera Rawで処理。後でトリミングしてもいいが、マルチアスペクト対応なので撮影時から正方形で撮影できる(クリックで拡大)


▲写真6:RAWで撮影後、Adobe Camera Rawで処理。高感度で撮影してもノイズが少なくきれいな写真が撮れる(クリックで拡大)

●今後の期待
G12は今のコンパクトデジタルの中で最良のカメラであろう。願わくば、もう少し、カメラであってもらいたい。デジタルカメラは、シャッターが切れるタイミングが遅い。ここまでこだわって作られたカメラなのだから、この点も是非妥協なく改善していただきたい。また、ズームのスピードが遅く鈍い。同じPowerShotシリーズのS95はコントローラリングにズームの割当ができるので、それを採用して、さらに直感で操作できるカメラになっていただきたい。

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